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知識・スキルよりも役割を見直す
 二月も終わりに近づき、来年度の組織作りをいくつかお手伝いさせていただ
いております。新たな部署の創設や部門毎の役割の見直しなど、やり方は様々
ですが、社外に対してより良いベネフィットを提供できるように、また社内に
対してよりモチベーションが上がるように、絶えず組織を見直すことは必要な
ことです。

 先日ある企業の幹部の方と、今と昔?の営業担当者や営業体制について意見
交換した時に下記のような話題が出ました。。
 昔の営業担当者は、営業、企画、サービスの提供、場合によってはメンテナ
ンスまで全部一人でやるのが当たり前だった。確かに、対応できるお客様や案
件数は限られていたのかもしれないが、その分、仕事に“深み”があった。
 一方、最近の営業担当者は、分業が進み、守備範囲が限定されている。自分
の守備範囲から離れることなく他の担当者の作業が遅れてもじっと見て、待っ
ている。事業が拡大する中で顧客数や案件数が増加し、分業化することで対応
しているわけだが、本当に対応スピードが上がっているのか、またそれぞれの
専門性が高まっているのか、もう一度検証しなければいけない…と言う話題で
した。

 同じ企業の同じ営業ですが、事業が拡大するにつれ、仕事内容が変わってい
くことはよくある話です。個々の営業担当者や組織に対する役割も変化するわ
けですが、社員一人一人を見たときに、本当に個々の成長につながっているの
か?また組織的にもより強い組織になっているのか?注意深く検証するのは必
要なことです。順調に事業が拡大している場面では、勝手に?営業力が上がっ
ていると思い込むこともよくあることです。便利になる中で、逆に失われてい
るものがあるのかもしれません。

 人材育成と言うと、教育する=知識やスキルを付与するイメージが強いわけ
ですが、実際は、成長レベルに応じて役割を付与する、変化させることがベー
スで、そのために必要な知識・スキルをどう付与するかという流れで考えるこ
とが必要です。役割や立場など“環境”や“場”が人を育てるとよく言われま
す。育成というと何を教えるという話題に偏りがちですが、適正な職務や役割
を与えたり、変化させる方が効果的なケースが多々あります。特に現在のよう
な環境においては、個人・組織どちらとも意識的に何らかの刺激を与えて活性
化することも必要です。そのために個人・組織の役割をもう一度見直すことも
大切なアプローチであると言えます。


             (2012/02/27 人材開発メールニュース第668号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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