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構造的な問題に取り組む機運を活かす
 本年最初のワンポイントアドバイスです。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年末に公益財団法人日本生産性本部から「2011年度新入社員・秋の意識調
査」が発表されました。

 <参考> http://activity.jpc-net.jp/detail/mdd/activity001324.html

 個人的に一番興味を持った結果は、新入社員の意識として「自分には仕事を
通じてかなえたい「夢」がある」とする回答の春と秋の数値の落差が過去最高
(18.9ポイント)で、その数値が過去最低(52.4%)だったことです。
 春の数値が高すぎるのか?秋の数値が低すぎるのか?捉え方は色々あります
が、いずれにしても落差が大きいのは、留意すべき点だと思います。

 昨今、雇用問題が取り上げられ、特に若年者の雇用についても厳しい状況が
続いています。実際、新卒で就職が決まらない人もたくさんいます。また、新
卒で決まっても早期で離職する人もいます。職に就いていない、または離職し、
実際に所謂「ミスマッチ」に遭遇している人もいれば、上記の調査結果の通り、
就職したものの「夢」を失ったり?「夢」が色褪せた?と思っているミスマッ
チ予備軍と言われる層がたくさんいることも事実です。

 ミスマッチに遭遇している若者に話を聞くと、よく出てくるフレーズがあり
ます。それは、「こんなはずではなかった、こんなつもりではなかった」とい
うものです。しかし、その話をもう少し詳しく聞いてみても、そもそも“どん
なはず”だったのかが、はっきりしていない人が多いのが特徴です。
 全てではないと思いますが、そもそも“どんなはず”がはっきりしない限り
は、職を見つけても、また「こんなはずじゃなかった」と言い出し、悪循環を
繰り返す可能性があります。実際、繰り返しているのが、今の現状ではないで
しょうか。

 ミスマッチの解消と言いながら、現場では就職件数・就職率といった当面の
結果ばかりが注目されている印象を受けます。政策・施策の効果・評価が、当
面の結果ばかりを期待する限りは、構造的な問題は解決が難しいと思います。

 昨年の震災以降、本質的な議論を求める風潮が高まっているように感じます。
雇用問題に限らず、企業内・組織内においても、わかっていながら取り組んで
いない構造的な問題がたくさんありますが、そういう問題に取り組もうという
機運も高まっているように感じます。この機運をどう活かすか、今年の大きな
テーマになるのではないでしょうか。


             (2012/01/16 人材開発メールニュース第662号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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