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キャリア教育が若年化する中で…
 最近、キャリア教育の若年化が進んでいます。確かに周囲でも数年前と比べ
ると大学だけでなく高校、中学、小学校でのキャリア教育に携わっている、携
わったという話題が急激に増えました。若い時期から職業人・社会人として自
立するためにキャリアについて考えることは大切なことだと言えます。

 実際のキャリア教育の内容を聞くと、将来「就きたい職業・仕事」について
考えたり、併せて何らかの職業・仕事に従事するために必要な知識、技能、能
力や態度を学ぶ内容のものが多いようです。

 一方、企業側で採用や人材育成の仕事に携わっていると、希望した企業・職
業に就いたにもかかわらず、辞めていくまたは辞めないが意欲を失っていく人
がいることも事実です。少し前までは、就社(会社・企業)で選ぶとミスマッ
チが発生し易いと言われてきました。しかし、就社だけではなく、自分の希望
する仕事・職業を調べて“就職”してもミスマッチが起きているのも事実です。

 希望した職業・仕事に就いてもミスマッチが起きる可能性があるということ
は、就職すること=何かの仕事・職業に就くことが、ゴールではないことを意
味していると言えます。そういう意味では、若年化が進むキャリア教育の中で
まだ足りていないものがあるように思われます。

 企業そして職業・仕事も時代と共に変化します。企業は生き物なので変化す
ることはイメージし易いかもしれません。同じように職業・仕事も変化してい
ます。同じ仕事でも、グローバル化や技術革新の影響を刻々と受け、以前と同
じやり方だけで済む仕事は、ほとんどありません。よく伝統を守って変わらず
○○を作っている、○○を提供していると言われることもありますが、その場
合でも、周囲の環境が変わる中で、同じものを提供するために変わり続けてい
る(変え続けている)ため、昔と同じものが提供できていると言えます。

 いずれにしても企業も職業も刻々と変化し続けることは認識する必要があり
ます。環境変化のスピードが早くなる中で、企業・職業で何を選択するかも大
切なことですが、足りない部分を補うために必要な問いは「人としてどうあり
たいか、どうなりたいか」ということだと思われます。
 補うと言うよりも、一番根幹的な“問い”になると言えます。

 一般的な進路調査票ではありませんが、進学か就職か?進学であればどこの
学校(学部)か?就職であればどこの企業か・どんな仕事か?と言った“行く
先を問う=何になりたいか”を問うだけでなく、“生き方を問う=どんな人に
なりたい?どんな風に生きたいか?を問う”キャリア教育がこれからは更に必
要になると考えられます。


             (2011/11/14 人材開発メールニュース第654号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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