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次世代を育てる力が問われている
 いきなり個人的な話で恐縮ですが、最近物忘れが激しくなったような気がし
ます。年齢を重ねると仕方ないのかもしれませんが、体力の衰えも感じます。
確実に様々な能力が落ちていると感じる場面が増えています。
 脳細胞も年齢を重ねるごとに減ると言われています。昔はそういう話を聞い
ても自分には関係ないと思っていましたが、能力が落ちていることを実感する
場面に遭遇すると、改めてその通りだと思います(いい加減ですね)。

 ビジネスにおいても経験やノウハウが勿論大事ではありますが、それ以上に
年齢を重ねる中で失っているものが多いのかもしれません。
 時間の経過・歴史と共に蓄積されるものがある一方で、最初の頃の想いや熱
量や活力など、時間の経過と共に失っているものがあるのかもしれません。恐
らく個人レベルだけでなく組織レベルでも同様で、組織の年数が経つ中で失っ
ていくものも多々あるように感じます。
 経営や人材開発の場面において、経験やノウハウを「積み重ねるスピード」
と「失っていくスピード」のバランスを冷静に見極めることが今後益々必要だ
と言えます。

 バブル経済崩壊以降、採用や人材制度を変更してきたツケ?により、世代交
代や継承をどう進めていくかが問われています。その一方で、若い世代が育っ
ていないと言う声もあります。また“ゆとり世代”という言葉に代表されるよ
うに価値観が異なり育て難いと言う声もあります。
 少し厳しい見方かもしれませんが、育ってなくても、育て難くても、全体の
失うものと積み重ねる(補う)もののバランスが崩れると存在・存続できない
世の中になっているように感じます。

 若い世代は「おとなしい、ものわかりがいい、草食系だ」、色々なキーワー
ドが並びたてられます。しかし実際は、彼らがそう“している”というよりも、
上の世代がそう“させている”ことが多いのかもしれません。彼らは、思って
いる以上に育つ力を有しているのかもしれません。少なくとも、育とうとする
のを阻害したり、邪魔するような仕組みは避ける必要があります。。
 昨今の“ゆとり世代”の話題は、若い世代にばかり焦点が当たり過ぎている
ように感じます。むしろ、次世代を育てる我々の才能を見出す力や活かす力が
弱まっているのかもしれません。次世代をどう育てるか?、才能を見出す力や
活かす力をどう強化するか?が問われているのではないでしょうか。


             (2011/09/26 人材開発メールニュース第647号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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