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杉村太郎さん追悼
 ほぼライフワーク化している学生への就職支援、学生向け就職指南のカリス
マといえば、私には二人の名前が浮かぶ。

 一人はご存じ『面接の達人』メンタツシリーズの中谷彰宏さんである。メン
タツは98年が初版、今年も『2012年版面接の達人バイブル版』(ほとんど内容
の改訂はなく、表紙の変更程度)が出ているから、実に14年間も就活本の代表
作としての知名度を維持する。ただ、知名度は高いものの学生に聞くと、最近
は読んでいる学生は少なくなってきたように思うのは私だけだろうか。

 そして、もう一人は杉村太郎さんである。杉村さんは住友商事の社員であり
ながら「歌って踊れるサラリーマン」としてシャインズというグループでデビ
ュー、“私の彼はサラリーマン”をヒットさせた。

 その後、会社もタレントも辞めて、就職予備校の草分け的存在、我究館を設
立、著書『絶対内定』が就活生のバイブルといわれた。いわばメンタツと並び
称される二大バイブル本であり、就活指南の二大巨頭ともいえる存在だと思う。
自己分析することを「我究する」と例えられるくらい有名な本でもあった。私
は同氏の本を多く読ませてもらったが、『絶対内定』よりは『我究ノート』と
いう自己分析ノートが気に入っており、設問に沿って自問自答を繰り返し、自
分を掘り下げていくスタイルが私の目指す自己分析プロセスと重なって高い評
価をしていたし、参考にもさせてもらった。

 その杉村太郎さんが8月20日、原発不明がんで死去された。享年47歳、あま
りにも早い死であった。残念としか言いようがない。

 ご存じのように、新卒の就活は厳しい。時代や就活の方法が変われば指導法
も変わり、カリスマといえども現状打破の特効薬にはなり得ないがやはり確固
たる信念、成功体験に裏打ちされた定見や指導ノウハウは力強く頼りがいがあ
るのは言うまでもないであろう。
 手法は時代に応じて変遷しようとも、就活に際してやるべきことの基本は不
変である。そうした不変不易を確立したのは、杉村さんが際立っていると思う
し、誰も否定できないのではないか。

 杉村さんは学生たちの現状を憂えて、どのように考え何と言っているのだろ
う。もっと徹底的に「我究しろ!」と叫んでいるに違いない。
 本当にその死は早すぎて、そして残念でならない。合掌。


             (2011/09/05 人材開発メールニュース第644号掲載)


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