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特別な経験ではなく、日々の生活を大切に
 就職環境が厳しい状況は変わりませんが、逆に企業、特に中小企業にとって
は人材を獲得するチャンスだと言われています。事実ここ数年は、以前に比べ
ると採用できたと言う話も良く聞きます。しかし、その一方で、選考の時には
「すごい学生だ」と感じたが、入社してみるとそれほどでもなかった?と言う
声も聞こえてきます。

 その理由の一つとして、特別な経験している学生が増えてきたことが挙げら
れます。特別な経験とは、日常から離れた様々なイベント(出来事)のことを
意味しています。例えば、留学やインターンシップ、さらには就職活動のため
の勉強会など、様々なイベントが次から次に生み出されます。少しでも就職活
動を有利にしたいと考える学生は、様々なイベントに参加することが増えてい
ます。

 よく採用面接の場で、学生時代に取り組んだことを質問すると、前述のよう
な「特別な経験」のことを話す学生も多いのではないでしょうか。短期的・一
時的なものでも特別な経験を積むと、経験の幅が拡がります。そういう意味で
は、特別な経験を積んで幅を拡げることは、必要なことだと言えます。

 しかし、企業側で考えると、企業の中には、特別なイベント(経験)を作り
易い組織とそうでない組織があります。新入社員や若手に積極的に特別なイベ
ント(経験)を積ませることができればいいのですが、むしろそういう企業は
少数派だったりします。特別なイベントが少ない・定型業務が多い組織ほど、
前述の「選考の時は、すごい学生だと思ったが…」というフレーズを聞くこと
が多い状況です。それは、彼らが変わったのではなく、特別な経験だったので
イキイキと話していたと言えます。ありふれた?日常の中では、選考の時に見
せたキラキラ感?が発揮できないのかもしれません。

 入社後も本当にスゴイと思える新入社員・若手の社員もたくさんいます。そ
ういう人に共通するのは、日常の中で自ら目標を見つけ、行動している点です。
日々の生活における自分の目標や行動を説明できる人は、どんな環境でも適応
力が高いと言えます。
 どんな経験の中にも“学び”は存在します。目標の大小ではなく、毎日の生
活の中から、目標を見つけ出し、行動し、振り返り、学ぶことができる=セル
フマネジメントができる人が必要ですね。


             (2011/07/11 人材開発メールニュース第637号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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