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被災者・被災地支援…フェイズに合った支援
 あの大震災・大津波からまもなく二ヶ月が経過しようとしている。未だ被災
地は正常には程遠く、映像を見るたびにその惨憺たる状況に無力感すら覚える。
「つながろう日本」「絆」「がんばろう日本」とスポーツ、音楽、企業活動…
様々な方法で義捐金も含めて支援しようとしている。

 しかし、本当に「日本は一つ」になっているかと問えば、そんな感じはしな
い。いわきナンバーの車を排除する、福島から来た子どもに心ない言葉を浴び
せる、差別する、義捐金の箱を遊ぶ金欲しさに盗む。私に言う資格がないこと
は確かだが、言葉だけになっていないかと思う。

 「それ本当に、必要ですか」と節電や買い占めを諫めるCMが一時期流れたが、
「そのCM、必要ですか」「その番組、必要ですか」と逆に問いたいテレビが多
い。多くの人々の生命や人生、土地・家、そして家族、友人を奪い、ライフス
タイルそのものを変えるほどの大災害があったにもかかわらず、テレビの中か
ら流れてくる光景はほとんど変わらない。

 ところで、通信業界のトップの100億円、元ニュースキャスターの何億円に
はとても及ばないが、お世話になった宮城県への恩返し、個人では一ヶ月分の
給与に相当する金額、会社としてのささやかな義捐金、クレジットカードなど
のポイント、上海を往復できる無料航空券相当のマイレージなど、様々な形で
寄付させていただいた。

 それでも少ないと思い、ユネスコハウスの事業に賛同して、被災地に図書館
を作るための児童書、絵本を近所にも声をかけて集め送る、義捐金に留めず、
被災者・被災地支援の医者のボランティア団体、国境なき医師団、あしなが育
英会…、お礼の意味も込めて僅かながらではあるが送金する。「自分にしかで
きないこと」は難しいが、「自分にできること」これに集中して、この二ヶ月
行動してきた。もちろん、まだ足りないことはわかるし、無力さだけが残るば
かりだ。

 しかし、世の中でもさまざまな支援をしているのがすばらしい。その中でも、
大手商社の大学卒業まで年120万円の基金などは安定までの長い道のりを想定
しての対応で、頭が下がる。

 被災者ではないのでわからないことばかりだが、被災直後の生命や安全や、
住居・食事・睡眠、次に、自力での買い物や学校などの普段の生活を取り戻す、
そしてひしひしと感じる将来への不安、復興への建設的行為…ニーズも変わる。
そのフェイズに合った支援を意識していきたい。


             (2011/05/09 人材開発メールニュース第628号掲載)


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