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新入社員を迎え入れるにあたって・2011年春
 春が訪れ、社会は新たな新入生、新入社員を迎えることになる。新たなステ
ージに勇躍踏み出す若い人たちは期待と不安の中で旅立ちであり、迎える側は
期待半分、戦々恐々半分ではないかと思うのは私だけであろうか。

 「ゆとり教育」世代が陸続として社会に出てくる。世の中は学生の就職難を
さまざまな角度から論じ、時には落としまくる企業への批判や就職協定の復活、
採用選考開始時期の見直しなどの話も出てきていはいる。しかし、それぞれの
企業の期待水準や採用基準によっても異なるが、本当に「採りたい人」がいな
いのが正直な話ではないだろうか。

 読まれた方も多いと思うが、週刊ダイヤモンド2011年2月12日号特集「就活
の虚実」。その中に、“わずか3,000人をめぐる争奪戦”というページがある。
2010年卒就職者数32万人、その中で偏差値60以上とる割合15.9%約5万2,000人
(高学歴層)、SPI等の採用テストで人気企業の求める能力を持つ割合30%、
約1万5,000人(企業が欲しいトップ層)、適性や企業の求める資質とのマッチ
ング確率20%、奪い合いになる学生層は約3,000人(全体の1%)とのことである。

 偏差値60以上、採用テストで一定水準以上といった学力・知力だけで判断す
るのは私自身危険だとは思う。しかし、学生の層を2:6:2としていたのを最
近1:7:2に変更した私からしても1%に絞り込んだ大胆さにため息、吐息をつ
くしかない。それほど、「これだ!」と思える学生が激減している(皆無に近
い)のも確かである。

 そして、学力・知力(昨今出てきた語学力重視は別として)、自発性や実行
力、自らが考えて成果を出せるであろう人材、ハキハキ、バイタリティ(最早、
死語?)・活力に溢れた人、肉食系男子、素直にどん欲に吸収していくような
人、未開の地にも自らが率先して切り拓いていくような逞しさ…を持った人に
内定が集中するのも当然といえる。今や希少生物に近い(イヤ、絶滅種か)。
 その点を考慮することなく「企業は採用しろ」「助成金やるから雇え」では
ないだろう。

 4月から、厳しい就活戦線を乗り切り内定を獲得した人たちが入ってくる。
厳選・減選採用時代だからこその、各企業、選りすぐった人材ともいえる。し
っかり育てていってほしい。


             (2011/03/21 人材開発メールニュース第622号掲載)


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