Back Number

変えようとする力…二つの方向性
 組織も含め、何かを変えようとした場合、変えようとするアクション(行動)
が起こります。何らかのアクション=これまでの形を変えようとする行動が起
きると、必ずその反動=これまでの形を維持しようとする力が発生します。

 よく「変えようとしたが、上手く進まなかった、思い通りに進まなかった」
と言われるのも、変化を起こすアクションと環境を維持しようとするアクショ
ンが同時に発生するためだと言えます。何かを変えようと思って、懸命に取り
組んだとしても、そのエネルギー全てが変化に結びつくわけではなく、実際は
「変えようとする力」と「維持しようとする力」が均衡するところで落ち着く
ためだと言えます。

 そういう意味では、変化を起こす、起こし続けるためには、二つの方向性が
あると言えます。一つは「変える力を(強力に)発揮する」、もう一つは「維
持する力を弱める」ということです。

 組織やチームのリーダーと呼ばれる方々から、「組織を変革したい」「チー
ムを変えて行きたい」と言う話をよく伺います。しかし、その一方で、思い通
りに進まないと言う悩みも沢山伺います。
 上手く行かない時ほど、前述の二つの方向性で見ると、どちらかに偏ってい
ることが多いようです。誰でもそうですが、それぞれ得意なリーダーシップ・
スタイル(発揮の仕方)があり、ぐいぐい引っ張っていく→「変える力を(強
力に)発揮する」ことも好む人もいれば、メンバーの言い分を徹底的に聴く→
「維持する力を弱める」ことを好む人もいます。大事なことは、上手く行かな
い時に、迅速に修正するということだと言えます。自分の好む進め方で、上手
く行かない時は、異なった進め方も検討するような柔軟性も必要です。

 「変化を起こしたい」と言う意志は、貴重です。ただ、思い通りに進まない
ことが続くと、意志が消えていくこともあります。大切な意志が、消えていか
ないようにするためには、行動が報われることが必要です。
 人の単位で見ても、組織の単位で見ても、変化の起こすアクションの方向性
が偏り過ぎていることはよくあります。少し柔軟に考えると、急に進むことが
あるかもしれません。皆さんの周りでは、いかがですか?


             (2011/03/14 人材開発メールニュース第621号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page