Back Number 就職合宿の現場から・2010年末 昨年末の話で恐縮だが、昨年12月26日日曜日のNHK19時全国ニュースに私が 登場したのをご覧になったであろうか。 話は、岐阜の私立大学の就職合宿の模様で、その最後に私のアップの映像と インタビューが流れた(夕食時に申し訳ない)。年末の慌ただしい中でも、大 学生148人と静かな戦いをしていたのである。 今年もまだ2−3月に模擬面接が残っているが、ほぼ大半の模擬面羅指導は終 わった。今年も延べ700人くらい実施してきただろうか。今年は現4年生の就職 内定率が史上最悪という環境の中での3年生の就活準備ではあるが、周囲が心 配するほどの悲壮感は学生からは見えない。やがて、本番でぶ厚く高い壁に跳 ねとばされることで気づくのであろうが、卒業しても3年間は新卒扱いという バカな制度が安心感につながっているようだ。 今年の学生たちと接していて「本当に話を聞かないな」という印象が強い。 言ったことを聞いていない、頭に入っていないということもあるが、こちらの 忠告やアドバイスを素直に受け入れない(自分の考えに固執して受け入れる余 地が狭い・ない)という感じである。 模擬面接などで自己PRや長所などを聞いたうえで、「本当はこうでは」「あ なたの良い点はここでは」といったアドバイスを丁寧に行っても、次に話をす るとそこから前の状態と何ら変わっていない、変えようともしない。少しでも 取り入れようとしない、もちろんこちらの忠告がすべて正しいとは思っていな いが、明らかに見当外れのことを言っていて修正へのアドバイスをするのだが、 受け入れてもらえない。何度も、何人も、同じことが繰り返される。最後には 「頼むから、私の言うことを聞いて」「だまされたと思って、私のアドバイス を取り入れてみて」と叫ぶのだが、跳ね返される。空しい戦いが続く。 そんな中で、素直に良かれと思ったことを取り入れて、格段に改善される学 生もいる。そんな学生を見て、人知れず涙を流す自分が健気で情けない。でも、 この姿勢や成長度が「内定がとれる、とれない」の分岐点なのかもしれない。 そして、企業内の人材育成に携わる身として言ってはいけないことなのだろう が、こうした学生を新卒として受け入れ育ていく会社(当然、上司・先輩)の 大変さが予測できるのが恐い。 こちらの言うことに強い反発・反駁が返ってくるなら議論もできる。しかし、 表面的にはおとなしく協調的、多少顔には出すが受け入れるふりをする。だか ら尚更、問題な気がする。 (2011/02/07 人材開発メールニュース第616号掲載) Go to Back Number Index Go to Top Page |