Back Number

垣根・枠組みを超えたキャリア・雇用
 今年最後のワンポイント・アドバイスになりました。皆さんにとって、どん
な一年だったでしょうか?

 今年は就職・雇用環境の厳しさを反映して、キャリアに関する課題をたくさ
んいただきました。今まで以上に、大学・高校などの学校側の方と意見交換す
る機会も増え、また実際に高校生・中学生の親と言うこともあって、(自分の
子供を含めた)子供たちの将来を色々と考える機会が多い一年でした。

 学校の現場でも、キャリア教育や職業教育に力を入れる動きが強まっている
ようです。ただ日頃、企業側・産業側での仕事しているため、学校で言われて
いるキャリア教育や職業教育に少し違和感を感じることもあります。

 将来のキャリアや実現したいこと・やりたいことを考えることは大切なこと
です。非常に前向きなテーマだと言えます。ただ、そこに力強さを加えるため
には、不測事態への対応も必要だと言えます。
 乱暴な表現になるかもしれませんが、自分の希望する職業に就けなかったら
どうするのか?自分の希望する職業に就いたが、すぐに辞めるような状況にな
った時にどうするのか?そういう環境に身を置くことになった場合の考え方・
進め方がこれからのキャリア教育には必要な気がします。
 思い描いたキャリアを上手く実現していく方法だけではなく、上手く進まな
かった時の対応策も必要だと言えます。両者が揃って始めて、環境への適応力・
対応力、広い意味での生きる力が身につくように思われます。

 また、企業・産業側から即戦力化・早期戦力化の要望が強まる中で、職業教
育に力を入れるべきだという話もよく聞きます。勿論、専門性・スキルを高め
ることで、就職活動を有利に進めている学校もたくさんあります。ただ、実際
私の周りでは、採用時に高度な専門性を要求することは、ほとんどありません
(私の周りだけかもしれませんが…)。
 学校では、職業教育として技術・技能と言ったテクニカル・スキルを高める
ことに力を入れています。しかし、企業側が求めているのは、ヒューマン・ス
キル的な要素が高いと言えます。ややこしい表現ですが、入社後にテクニカル・
スキルをすぐに身につけられるように、基礎的なヒューマン・スキルが求めら
れる…そんな感じです。そこに、微妙なミスマッチが存在しています。

 ミスマッチの存在は、学校側に起因するものではありません。学校側・産業
(企業)側、双方に不足している情報がたくさんあります。
 むしろ学校側・産業側と言った垣根を取り払って、一個人・一企業の枠組み
を超えて、雇用やキャリアのことを考えなければいけない時代に突入している
印象を受けます。“ヒトは宝”…いつの時代でも言われることですが、その意
味を今の時代・環境に照らし合わせ、より大きな観点で考えないといけないで
すね。

 今年一年お付き合いいただきありがとうございました。
 良いお年をお迎えください。


             (2010/12/27 人材開発メールニュース第611号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page