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2012年卒・就職戦線スタート(1)
 当人材開発メールもめでたく600号を超えたとのこと、その長きに渡った歩
みに驚くとともに、長年のお付き合いに深謝、感謝申しあげます。半分近くの
原稿を書いてきた自分に「ご褒美」をあげたいくらいの気持ちである。加えて、
重箱の角突き、針小棒大、些末な事柄へのこだわり、時には支離滅裂、尻切れ
トンボの私の話に耳を傾けていただけたことを、ここでも感謝、深謝である。
命の続く限り、700号、800号…1000号と続けていきたいものである。

 ところで、突然、いつもの話題に戻るが、今年も大学生向けの就活支援に取
り組んでいる。思えば長い年月の取り組みであり、既にライフワークの域にな
っている気もする。その間に、バブル就職、バブル崩壊の長く続いた氷河期、
就職不況。2007年問題と景気回復で、一瞬の学生にとっての売り手市場の出現、
そして、リーマンショックから端を発した極寒就職、超超氷河期、就渇時代と
もいわれる今に至る。

 今年だけを考えれば、円高・株安・デフレ不況ともいえるし、ここ数年の状
態を考えれば、「政治無策」「ねじれ無策」が生んだ状況ともいえなくもない。
今年も既に二大学で始動をスタートさせたが、一つの大学では意識だけでも高
めようということで、私の授業はスーツ着用、この大学には15年近く通ってい
るが、10月の時点でスーツ姿を見たのは初めて、おそらく建学以来ではないか。
それほど学校のもつ危機感は想像以上でもある。

 学生もそれに呼応してか、一学年の8割近い学生が私の授業に履修登録して、
定員オーバーで教室を変更したほどの状況に陥る。但し、残念ながら盛況感や
やる気に満ちた雰囲気とは程遠く、全体的に厭戦気分、スタート前からのあき
らめ感、閉塞感、逼塞感…多々、もどかしさを表す言葉は多数あるが、どれも
当てはまり、どれも当てはまらない、空虚な雰囲気が漂う。

 また、大手企業の採用選考の早期化を想定して、早めに学生を動かそうと多
くの大学で就活指導の内容がどんどん前倒しになっている。学校側の焦りはわ
かるが、学生の気持ちも行動もレディネス状態になっていないから、消化でき
ないままに結局はついて行けず、さらに学生のやる気を削いでいる気がする。

 特に、早めに活動させようとするのは地方大学が多く、仮想敵である地方企
業の採用は首都圏より遅く、大学−学生−企業の三者間に永久に交差しないギ
ャップが存在しているような気がしてならないし、それがとても気になる。


             (2010/11/01 人材開発メールニュース第603号掲載)


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