Back Number

禁煙との戦い(2)
 私ごとで恐縮ですが、前回(第599号)に引き続いて私の禁煙との戦い?に
ついて話をさせていただく。

 前回最後に「私は不退転の決意で、禁煙を密かに心の中で誓うのであった」
と書いた。実は、私は誰にも禁煙宣言をしないで、黙って開始した。黙って始
めた理由は、すぱっと禁煙して家族を驚かせてやろうと思ったのも確かだが、
禁煙できる自信がなかったからである。私は意志が弱く、根性なしであること
を自分で理解している。まして、初めて…言い訳を数多く用意して始めた。

 禁煙に向けて実施したことは大きく二つ。一つ目は、ご存じの方も多いと思
うが、「離煙パイプ」というものを使った。31本(31日分)のパイプを使い、
1本使うごとにニコチンが3%ずつ減っていくシステムのものである。実際には
未練がましくて恥ずかしいのだが、1日1本の予定を1本で2日間使用してダラダ
ラと禁煙を先延ばししていく日々であった。

 また、何本でも吸って良いと書いてあったので、禁煙を意識せず思う存分タ
バコを吸った。しかし、これが驚いたことに、25本も過ぎるとたばこの味はし
なくなり、ただの煙を吸っているだけの気分、時には不味さまで感じてくる。

 二つ目は、喫煙の習慣をやめようということで、就寝前の一服、起床直後の
一服、食後の一服…とたばこの醍醐味だが、そのうちの一つでも止めようと思
った。まずは寝る前の一服、次は起床後…と、一つずつ、少しずつと止めてい
った。離煙パイプの効果と相俟って、「やらないこと」が次第に定着していき、
起床後、思い出したようにタバコを吸うのが午前11時くらいになる日も出てき
て、これも一つの変化であった。

 最後の31本目のパイプ、最後の日ということもあり、この1本でタバコを悔
いのないように20本くらい吸おう思ったが、2-3本吸った時点で気分が悪くな
り、昼過ぎには、タバコもライターも灰皿もすべてゴミ箱に放り込んだ。念の
ため、買ってあった禁煙補助のためのパッチを貼ったのだが、そこから輩出さ
れるニコチンが体に入ってきて気分が悪くなり、それもむしり取った。

 こうして、禁煙宣言を心の中で行って、約40日で禁煙に至ったのである。俗
に言われる禁断症状、イライラ感はまったくゼロ。禁煙すると口寂しくなって
食べ物を口にしたり、食欲が増して太るといわれているが、元来、太っている
し、体重に増加はまったくなかった(減ったら尚嬉しいが)。そして一番の驚
きは、その後、全く吸いたいとも思わないことで、もっと言えば、私は喫煙歴
30年になるが、自分自身30年間タバコを吸っていたと自覚できないくらい、煙
草への意識がなくなってしまったことである。

 もちろん、環境面で紫煙に接する機会が減ったのも追い風であった。壮絶さ
もドラマもまったくない平々凡々とした禁煙プロセスであり、合う合わないは
人によって違うし、たまたまの感もあるが、百害あって一利なし、迫害あって
味方なし、値上がりを一つのきっかけに禁煙をお勧めする(できると偉そうで
ある)。


             (2010/10/18 人材開発メールニュース第601号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page