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新卒者就職応援プロジェクトについて
 大学生の就活の厳しさでの話をもう一つ。
 「新卒者就職応援プロジェクト」をご存じだろうか。
 国が予算108億円を組んで始める就職支援事業である。

 まだ就職先が決まらない既卒生を対象に、企業研究のインターンシップに通
えば、日当7,000円の支給があるという。1日7時間以上、企業の実施する技能
研修(現場実習と言う名の就労)で、期間は最長6ヶ月。確かに、1日7,000円、
1日7時間で時給1,000円のバイトと思えば割がいい。フリーターと称するより
も、国のインターンシップ研修に参加していると言えば世間体も良さそうだ。

 ところが、「新卒者就職応援プロジェクト」の構造を見ると疑問符だらけだ。
既卒生には1日7,000円の日当が出るが、企業の負担は半分の1日3,500円、7時
間で割ると時給500円、最低賃金を2-300円下回る人件費負担で若い労働力を確
保・使用できることになる。企業にとって断然有利な制度であり、まるで、以
前問題になった外国人研修制度の学生版のようだ。

 国(民主党)は、最低賃金を上げるとマニュフェストに掲げながら、内実、
その半額で働かせようとしているのだ。それでも、3-6ヶ月インターンシップ
実習に通い、希望すればその企業の正社員に登用されることが保証されていれ
ば(もちろん双方の合意が前提)許せるが、その保証はまったくない。

 もちろん、「正社員登用があるかも…」と期待を持たせ懸命に働かせること
もできる。6ヶ月後は、次の若い労働力の確保もできるのだ。

 中には、社会貢献に名を借りた安い労働力確保にニンマリと言う企業もある
だろう。本当にそれでいいのだろうか。


             (2010/05/24 人材開発メールニュース第581号掲載)


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