Back Number

変化に適応できない人たち
 相変わらずの学生向け指導の毎日である。550号の半分として270、その三分
の一は学生向けの支援、サービスの話があったかと思う。それくらい、私にと
っては収入を度外視したライフワークに近いテーマでもある。

 しかし、今年の大学生の就活は本当に厳しかった。
 過去にもどしゃぶり就職、就職氷河期と言われた厳しい状況は多々あったが、
どれも前兆があり、多分、厳しくなるようだという予想が立っていたが、今回
のリーマンショックのように天変地異に近い激変に直面すると、心の準備すら
できないままに大きな波に乗り込まれてしまうことがよくわかる。そのくらい
激変、劇的変化であり、今思えば一年前のことなのに、ずっと以前のような感
じがする。多くの企業のトップが対応に遅れたことを考えれば、その変化に適
応できない学生を責めるのは可哀相というものである。

 環境変化に適応できないといえば、民主党政権に変わった変化に、多くのマ
スコミは対応できているとはとてもいえない。民主党政権のモタモタした姿、
煮え切らない予算編成、沖縄基地問題など、そのタラタラ感も責められるべき
だが、相変わらず出てくる報道は「小沢チルドレン」とか、小沢支配とか、旧
態依然とした批判的表現のみ。小沢幹事長を支持するつもりは毛頭ないが、同
じことの繰り返しでは進歩はない。

 これは「小泉チルドレン」と発想は同じ、同じ価値観に読者を当てはめよう
とするマスコミの発想力のなさが伝わってくる。多くのマスコミの論調は自民
党政権時代との比較でしかなく、その域から脱することが彼ら自身怖いのであ
ろう。多くの大マスコミの記者たちは多くが高学歴のエリートばかりだ。その
彼らが政権交代という事実を否定したいのかもしれない。それは、旧来の自ら
の既得権益を失うことになるし、自分たちの論理が通用しないことへの恐怖心
であるかもしれない。

 そんな視点で多くの報道を見ていると、記者やマスコミデスク自体が旧来型
の発想から抜け出せないのが手に取るように伝わってくるが哀しい。元来、政
権交代などは起こりえないという発想で視点が固定していた人達からは何も新
たな観点は生まれないのはしょうがないであろう。

 実は、多くの国民がわかっているのかもしれない。既得権益に守られて最も
ぬくぬくと楽して暮らしいる人たちは、建設・土木業者でも天下りの役人でも
なく、マスコミ人その人かもしれないことを。


             (2009/12/07 人材開発メールニュース第559号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page