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信頼されると信頼する
 先日、少しびっくり&うれしい?ことがありました。
 ある企業の人事担当者の方が、このコラムに7年ぐらい前に書いた内容を持
ってこられて、「うちの会社では、今こういう状態なんですよ」といきなり話
を切り出されたことがありました。

 ちなみにその内容とは、「自社の独自性を語る自立した人材」
 人材開発メールニュース第223号掲載(2003年2月10日配信分)
 http://blog.livedoor.jp/hrd_net/archives/47145130.html

 コラムを書いてる当の本人(私)も、7年前に何を書いているかは、きちん
と覚えていなかったりしますが、過去に掲載した内容を見て、相談いただける
のは有難いことです。併せて、最近の環境を考えると、バブル崩壊後の話題が
再燃しているようなことも多く、時代はスパイラルしながら進んでいると感じ
ることが多々あります。

 職場において明るい話題が少なくなり、不安感が増幅すると、「信頼」に対
する欲求が高まるのは当然のことだと言えます。前述の人事担当者の方との会
話でも、「自分を信頼して欲しいという欲求は強いが、会社・職場・他人を信
頼していない」そんな印象を受ける人が増えているという話が出ていました。

 成果主義を生きてきた人材の特徴かもしれませんが、「信頼されると信頼す
る」ような人が増えているようです。逆説的に言えば、「信頼されていないと
感じると、協力しない・手伝わない」そんな感じでしょうか。組織−個人、上
司−部下の関係においても、相手は自分を信頼しているのか?どちらが先に信
頼するか?そんな駆け引きが展開されているような印象を受けます。

 しかし、元気の良い職場には、あまりそういうことを気にしない“人財”が
存在するのも事実です。信頼される・されないということに関係なく、困って
るから(困ってそうだから)助ける、手伝う…「利己」に囚われず、「利他」
を実践している“人財”がいます。
 職場のリーダーに限らず、メンバーの中にそういう人が一人いるだけで、職
場の雰囲気はかなり違います。逆にそういう“人財”が評価されずに流失し、
雰囲気が悪くなる職場もあります。「利他」は大事だと言われますが、「利他・
協力・援助」等を大きく評価している組織は少ないようにも感じます(評価し
なくても動くのが、本当の利他ですが…)。

 今後の企業経営や職場活性化においては、どれだけ利他的に行動し、周りに
影響を与えられるビジネスリーダーを育成・定着できるかが、ポイントになる
のではないでしょうか。


             (2009/11/30 人材開発メールニュース第558号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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