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折角見直すなら、少し前も…
 最近ということではありませんが、「景気が悪いから…」「不況だから…」
という言葉を聞く機会が増えているような気がします。何かを進めようとする
際に、「景気が悪い」「不況」と言う言葉が乱発され、行く手を阻んでいるよ
うな感じを受けます。人材開発の分野においても色々と見直しが進められてい
るようですが、前述の理由?も含め、なかなか前に進まない、進めにくいと言
う話が増えているようです。

 人材開発に限らず、経営の様々な場面で見直しが進められていますが、折角
見直しを行うならば、もう少し前(以前)を真摯に分析することも必要です。
今現場で起こっている問題は、「景気が悪くなった、不況になった」から表面
化した問題が多いと言えますが、むしろその前から内在していた問題が多いよ
うに思われます。

 景気が悪くなる前、不況になる前から、実は存在していて、当時は表面化し
ていなかった事、気づいていたが重視していなかった事が圧倒的に多く(勿論
悪くなって発生したものもありますが…)、そのため変化に対応する準備が不
足していたり、対応が後手に回ることで、今現在大変な局面を迎えている…と
いうケースが多いように見受けられます。

 大変な今現在を分析し、今後どう対応するかと言う議論は多いようですが、
そもそも以前はどうだったか?という話が置き去りにされているような印象を
受けることもあります。
 悪くなってからの状況・原因を分析するだけでなく、良かった時はどうだっ
たか?という分析も必要です。環境の良し悪しに関係なく、認識される問題は、
構造的な問題であると言えます。本質的な部分に目を向けなければ、応急処置
的な対応になってしまうことは言うまでもありません。

 応急処置が悪いと言うことではありませんが、真剣にこれからのことを考え
るのであれば、応急処置で乗り越えられるかどうかという議論も必要です。
 いずれにしても、今だけでなく、少し前(悪くなる前)を含め、もう一度見
直すことで、解決すべき課題が浮き上がってくるのではないでしょうか。


             (2009/08/31 人材開発メールニュース第545号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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