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1票を自分の考えで
 読者の皆様、暑中お見舞い申し上げます。

 蒸し暑くはっきりしない空模様、世の中の気分そのものの夏を迎えている。
歴史的皆既日食さえ曇天の中に埋没させ、そのうえにゲリラ的豪雨、竜巻…と
今年も自然の驚異に立ちすくむ。もうすぐ世の中は選挙一色、スピーカーから
候補者名の連呼の季節に重なり、より一層の鬱陶しい夏になるといえる。

 今回の総選挙、「政権交代」が大きなキーワードになっているが、生まれて
からこのかた、細川連立政権の陽炎のような政権交代があった以外、劇的に中
心政党が変わらずにきた日本で、よもや政権交代の瞬間が見られるかと思うと、
わくわく半分・怖さ(危うさ)半分である。

 それはとりもなおさず、民主党の政権担当能力があるかどうかである。とは
いっても、考えてみれば今の政権党以外担当したことがないのだからわからな
くて当然、それこそ「やらせてみなければわからない」。

 また、多大な予算のかかる政策を発表、マスコミ、政権党はこぞって「財源」
について批判するが、現連立政権発足から10年、国の借金は300兆円増えてい
るという。元々、財源なんて関係なく国債発行で賄ってきた従来のやり方を見
ていると、ここから0.5兆円、ここから9兆円と、かき集めている感のある政策
発表の方が現実味が感じる。

 一番の問題は、よくマスコミに書かれているが「ホップ、ステップ、肉離れ」
と揶揄される、肝心なところでチョンボ癖である。政権を追いつめていながら
の偽メール事件、郵政選挙での大敗、代表の献金問題(建設会社や故人献金)
など、どこかで危なっかしさ、粗忽さ、粗っぽさが顔を出して国民を不安にさ
せる。今回はたまたまカウンターパートナーである相手の頭目が、“あの人”
であるから助かっていることが大きく寄与しているだけである。

 マニュフェスト論議も盛り上がっている。政権党の4年前のマニュフェスト
に載っている「幼児教育の無料化」が実現ゼロなのに、またまた掲げて新聞の
第一面に載せる新聞社のチェック機能のなさも情けない。政権党の垂れ流す情
報をそのまま思考停止の状態で対応するマスコミ報道に価値はない。

 これからの約1ヶ月、いよいよ現実味を帯びてきた政権交代、この1票はた
ぶん、これまでの国政選挙と比べものにならないくらいに、重く貴重な1票に
なる可能性がある。私たちが新しい世の中を選ぶのか、従来の延長線上での表
紙の掛け替え的改善を選ぶのか…。

 そんな1票を自分の考えで投じたい。今回の一票は重く、価値がある。


             (2009/08/03 人材開発メールニュース第542号掲載)


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