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リストラに慣れる?
 景気は底を打ったという話題が増えているようですが、皆さんの周りではい
かがでしょうか?
 先日、ある企業の人事担当者の方と会話した際に「雇用調整・従業員削減に
慣れることが恐い…」という話になりました。景気の悪化に伴い、雇用調整・
従業員削減が避けられないこともあります。しかし、最近ではリストラという
雇用調整・従業員削減は当たり前になり、少し業績が悪くなると簡単に?雇用
に手をつけるようなケースが増えているような印象を受けます。元々、終身雇
用という感覚が強かった国内企業においては、雇用に手をつけることは最終手
段であったような気がします。しかし、徐々に慣れてしまうのか、感覚が麻痺
するのか、いずれにしても、何回か実施するうちに、初めて雇用調整した時の
感覚を忘れてしまうことも多いようです。

 雇用調整・従業員削減が悪いというつもりはありませんが、大事なことは、
計画的に進めて、本来の目的であるリストラクチャリング(再構築)を実現す
ることです。繰り返し何度も雇用調整してしまうケースは、結果として従業員
のモチベーションやモラルの低下につながり、初期に想定していたリストラク
チャリング(再構築)が実現できないことが多いようです。そのため?何度も
経営サイドから人事部門に雇用調整の計画要請が繰り返されることも少なくな
いようです。

 当然、人事部門は経営の要請に応える動きも必要ですが、リストラクチャリ
ング(再構築)を成功に導くためには、雇用調整・従業員削減の必要性や方法
について、経営サイドと激論を交わす必要もあります。しかし、冒頭の人事担
当者の方との会話の中では、「激論を交わす人事部門・担当者が減ってきてい
るのではないか?雇用調整・従業員削減に慣れることが恐い。」という話題に
なっていました。

 雇用調整・従業員削減を実施する場合は、本来の目的を明確にする必要があ
ります。どれぐらい調整・削減するかではなくて、調整・削減を通じて何を実
現するかが大事なことは言うまでもありません。少なくとも事業を推進・維持
するためのモチベーション・モラルの確保はセットで考える必要があります。
しかし、何となくではありますが、「何を実現するか」よりも「どう調整・削
減するか」という議論が増えている印象を受けます。人事部門・人事担当者の
方々は、誰よりも雇用調整・従業員削減の目的と手段を確認する存在であるこ
とが必要ではないでしょうか。


             (2009/07/27 人材開発メールニュース第541号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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