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さもしさを感じるCM
 「よーく考えよう。お金は大事だよ」…そんな歌が流れる生命保険会社のCM
がかつてあった。私は初職が広告代理店勤務ということもあって、CMをいつも
注意して観察している。いくら安い保険料をアピールしたいといっても、将来
に夢も希望もある子供に「金、かね、カネ」と言わせなくても…と、かつてこ
のコラムで書いた。CMを作った当該企業の品格を疑った。

 そんな中、最近ハイブリッド車が好調な自動車最大手企業のCMで“こども店
長”シリーズが放映されているのを目にする。最初のうちは、「子ども目線」
「エコ替え」をアピールしていて、浦島太郎編、ファッションショー編を見て
いる範囲では、ありかな的で何ら気にする存在ではなかったが、このところ減
税+補助金対策車のバーションが出てきて、またもお金がらみで子どもを使う
CMに接してイヤな気分になった。

 すごいのはネット上の同社のCMで「車によってはアイスキャンデー1000本分
の減税になるんです」と子どもに言わせているものもあって、そんな表現でな
いとメッセージを送れないのかと、CM担当者の品格、創造力の欠如を感じてし
まう。どうせなら、「ぼくの給付金も使えば買えるよ!」くらいに開き直って
子どもに「金、かね、カネ」と連呼させればいい。

 きっと壮大な経営戦略の下、市場調査に裏打ちされたマーケティングプラン
が立てられ、その中で広告宣伝、プロモーション、イメージ構築が検討されて
このCMは生まれたのだろうが、私個人的にはお金がらみで子どもを使うCMには
イヤな気分しか残らず、さもしさだけが伝わってくる。


             (2009/07/20 人材開発メールニュース第540号掲載)


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