いきなりですが皆さんは、「５冊の本を読むことと１冊の本を５回読むこと」
をどちらかを選べと言われた場合、どちらを選びますか？勿論、読む本の内容
にもよるかと思いますが、同じ本を繰り返して読むよりも、複数の本を読むこ
とを選ぶ人の方が多いのではないでしょうか？

　昔、私がやらされた？研修（個人的には修行のような気がしていましたが）
で、同じ本を５回読んで、毎回レポートを提出するという内容のものがありま
した。本の内容は、比較的スムーズに読める本でしたが、毎回読んで気づいた
ことをまとめて提出するのは、かなり大変でした。前回と違う内容を書かなけ
ればいけないというプレッシャー？と戦いながら、取り組んだことを今でも覚
えています。
　読書を繰り返しながら、前回と同じように感じたこと、また前回とは違う印
象を持ったことを書き出す（正確に言うと搾り出す？）ことで、何となくでは
ありますが、知識を深めていく感覚を持った？ような気がしました（少し読書
嫌いにもなりましたが…）。

　私の周りでも、知的好奇心が旺盛で読書家と言われるような人がたくさんい
ます。しかし、次から次に新しい本を多読はするが、同じ本を何度も読み返し
ている人は少ない感じです。そういう人には、「たまには読み返してみたら…」
と声をかけています。

　情報化が進む中で、次から次に新しい情報が入手できることもあり、知識を
広めていく機会は増えていますが、一つの情報を多面的に見聞する機会は逆に
減っている印象を受けます。ビジネスまた人材育成においても、知識を広める
だけでなく深めるような機会の創出が今後は益々必要になるのではないでしょ
うか？


 　　　　　　　　　　　　（2009/06/29 人材開発メールニュース第537号掲載）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　humanize：吉次　潤