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新規事業と人・組織
 最近、既存の事業の行き詰まりを感じてか、新規事業に関する話題を聞く機
会が増えた印象を受けます。実際詳しく話を聞いてみると、新規事業の捉え方
も様々です。例えば、既存事業を落ち込みをカバーするためにと考えていると
ころもあれば、既存事業に取って代わるような新規事業に育てたいと考えてい
る経営者の方もいらっしゃいます。

 新規事業に限ったことではありませんが、事業を推進していくためには「人
と組織」が整備されているかを吟味する必要があります。当然のことながら、
落ち込みをカバーするために必要な「人と組織」と既存事業に取って代わるよ
うな「人と組織」は異なります。しかし、新規事業の話題は出るものの、「な
かなか進まない、思うようにいかない…」という場面では、事業に必要な「人
と組織」の確認が後回しにされていることが多いようです。

 新規事業、特に立ち上げ段階の成功確率を高めるためには、既存資源の強み
を活かすことが必要です。しかし、規模が小さい企業であればあるほど、先に
「事業ありき」という形で進められるケースが多いようです(「事業ありき」
が必ずしも悪いわけではありません…)。
 既存の「人と組織」の持つノウハウを最大限に活かすことを考えるためには、
「事業の検討」→「人と組織を中心とした資源の確認」→「事業の実行」とい
うプロセスが必要です。しかし前述の通り、真ん中のプロセスが抜けているた
め、結局前に進めない、進まないという話を良く聞きます。どちらが先と言う
ことではありませんが、本来は、「事業」→「人と組織」→「事業」→「人と
組織」…とループしながら進んでいくべきものだと言えます。

 いつの時代においても戦略・戦術を実行するのは人ということは言うまでも
ありません。行き詰っているのは事業ではなくて、「人と組織」の持つ実力を
発揮する機会が減少したり、無くなったりしていることではないでしょうか?
 実力を発揮する舞台や市場を探ることで、これまでと異なる新規事業の可能
性が発見できるかもしれません。実力を発揮する舞台や市場を探る…そういう
動きも人材開発部門・担当者に求められていると言えます。


             (2009/06/01 人材開発メールニュース第533号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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