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勝つことと負けないこと
 スポーツでは、結果が全てではありませんが、勝敗で一喜一憂しているのも
事実だと言えます。勝負の世界では、場合によっては、引き分けという結果も
存在します。サッカーの試合などを観ていると、引き分けという結果は、結構
多いような気がします。

 ただ、引き分けの場合、その結果の受け止め方は様々です。引き分けという
結果に、一方が喜び、他方は悔しがることもあります。また両者共に悔しがる
こともあります。勝っても負けても無いわけですが、同じ引き分けでも、当初
の目的に対する達成度合いに応じて、結果を喜んだり、悔しがったりしている
と言えます。

 当たり前の話ですが、「勝つこと」と「負けないこと」は似て非なるもので
す。前述の通り、引き分けがあるような種目においては、「勝つこと」を目指
すか、「負けないこと」目指すかによって、採られる戦術も大きく異なります。
チームスポーツでは、そのコンセプトがメンバーに浸透していないと、綻びが
発生し、所与の目標を達成できない…というのは、よくある話です。

 ビジネスにおいても同様のことが言えます。特に先行きが見えない現在のよ
うな環境においては、「勝つこと」を目指しているのか「負けないこと」を目
指しているのか、明確にする必要があります。少なくとも事業ごとに、伸ばす
ことを目指しているのか、維持する(取りこぼしを減らす)ことを目指してい
るのか明確にする必要があります。

 「勝つ」ために必要な「人・組織」と「負けない」ために必要な「人・組織」
は、当然異なります。また、個々人においても「勝つこと」に力を発揮する人
材もいれば、「負けないこと」に力を発揮する人材もいます。目指すべき方向
(勝つ・負けない)と現有の資源(人材)を照らし合わせた結果、ギャップが
発生することもあります。そのギャップを埋めることが、現在の人事・人材開
発部門に求められることではないでしょうか。

 限られた資源をどこに集中するか、コンセプトを明確にし、共有することが
必要なことは言うまでもありません。また、目指すべきコンセプトを掲げては
いるものの、コンセプトに沿った体制に変化していない…ミスマッチしている
組織も結構あるようです。こういう不透明な環境下では、当たり前のこと、基
本的なことから、再度チェックすることも必要ではないでしょうか。


             (2009/04/13 人材開発メールニュース第527号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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