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出張の現場から…元気に活躍している姿
 2月の某地方空港での話。羽田に戻る便に乗るため、手荷物検査場に。毎度
のことながら、金属探知器の門をくぐる。そのときブザーが…。このところス
ーツの中身を丁寧にすべて出しており、10回連続くらいでブザーがなっていな
いことを考え、うろたえる。「そうだ、靴だ」と思い当たる。

 この地方は雪が多く、この地方用に靴底に滑り止めの金属が入っている靴を
買い、履いてきたのであった。羽田では鳴らなかったのに…言い訳しようと顔
を上げると「先生、お久しぶりです。お疲れ様です」とにこりと笑った警備会
社の制服姿の若者。そうだ、私が就活指導した学生が警備会社に入り、空港警
備に当たっているのだ。「いやあ、久しぶり」、少々うろたえながらも余裕あ
る態度で答える。

 すると、すぐ後から「先生!」と声がかかる。振り向くとそこには警察官!
当然、空港警備に当たる地元の警察官。「先生、M橋です。覚えていますか。
先生に模擬面接やっていただき、警察に入ることのお墨付きをもらったM橋で
す」と敬礼した姿勢で話しかけられる。おー、そうだ。覚えている。M橋君、
本当に警察官になったのか〜「本官は県警に入り○△署勤務を経て、今年1月
から空港署配属になりました」との説明、「そう、それは良かったね」と思わ
ず握手。

 しかし、まだ搭乗時間まで余裕があるとはいえ、手荷物検査場の横で、靴底
の金属が探知機に反応してうろたえているおっさん(私のこと)と、空港警備
会社の警備員(当然、制服です)と地元県警の警察官(当然、制服です)が、
立ち話をしている光景は周囲には奇異に映ったはず。事実、手荷物検査場に入
ってくる乗客や周囲の警備員は不可思議な表情で私たちを見ている。幸いなこ
とに、三人とも和やかな表情で談笑していることが救いで、これが厳しい顔を
していたら「大麻不法所持発見!」「密輸犯拘束!」「危険物持ち込みの現行
犯」「ハイジャック犯を未然に取り押さえる」「変態男、ご用!」的な雰囲気
になりかねない。

 しかし、一人は警備員として以前にも声をかけてもらっている(このときも、
ブザーが…トホホ)ので驚くことはないが、警察官になった教え子とも空港で
再会するとは思わなかった。これで、警備員と警察官、二人の強い味方?を得
て、この地方にもますます安心して来られるようになったのがうれしい(あま
り、関係ないが)。

 それ以上に、短い時間、人生の中でほんの一瞬、同じ時間を共有し、就活の
手伝いをした学生が元気に活躍している姿を見ることが何よりも嬉しいし、多
少なりとも役に立てたことを実感する。
 こうして、雪深い地方からポカポカとした暖かさをもらって東京に戻った。


             (2009/03/09 人材開発メールニュース第522号掲載)


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