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蔓延する格差・二極化
 今、日本(日本だけの傾向ではないかもしれないが)に蔓延しているのは、
「格差」「二極化」ではないかと思うことが多くなった。特に、二極化、是か
非か、正か非かの二者択一あるいは偏在、例えば、正社員と非正社員、地方と
都市、職があるか職がないか、勝ち組と負け組など両極に対比されるものが多
くなってきた。

 このところ製造業での非正社員の派遣切りや契約解除が問題になっているが、
逆に、外食産業などでの人手不足は顕著であり、労働力の偏在も問題になって
いる。いくら製造業以外の業界が雇用の受け皿になろうとも、実際の労働力移
動は少ない。

 また、貧富、富の偏在も大きい。このところの金融危機で随分と目減りした
かもしれないが、三菱UFJメルリリンチPB証券とNTTデータ経営研究所の発表に
よると金融資産100万ドル以上持つ国内の富裕層07年末時点で151万人いる一方
で、国税庁がまとめた06年民間給与実態統計調査によると年収200万円以下の
給与所得者は1,022万人、4.4人に一人になり、07年に厚生労働省から公表され
た福祉行政報告例によると、07年5月時点で生活保護を受けている世帯は106万、
人数にして149万人に達する。年越し派遣村でマスコミに登場した所持金何百
円という人たちもうなずける。一億総中流時代なんて言っていた時代があった
ことが信じられない時勢である。
 今後は、非正社員のリストラから正社員のリストラ、雇用に大きな影響が出
て、「会社を出る人、残る人」「リストラされる人、されない人」「勝ち組企
業の人と負け組企業の人」などなど、さまざまな対極、格差が生まれてくるの
だろう。

 麻生太郎総理大臣は財閥の家系に生まれ、うなるほどお金をもっているらし
いが、残念ながら富裕層の一極にいる人に、その対極にいる人たちの痛みも哀
しみもわかるわけがなく、お殿様のお情けはないが定額給付金をばらまく最悪
の施策しか思いつかないのもうなずける。

 しかし、日本はいつからこんな社会、風潮になってしまったのだろうか。
 そしていつまで続くのだろうか。


             (2009/02/23 人材開発メールニュース第520号掲載)


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