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どうすればいいですか?にヒントが…
 先日、ある企業の事業責任者の方との会話で、「最近、部下から『どうすれ
ばいいですか?』と質問される機会が増えて困っている…」という話がありま
した。

 事業環境が厳しくなる中で、組織全体に不安感が拡がり、自信を失いかけて
いるためか、判断を仰ぐ機会が増えているという話でした。「どうすればいい
ですか?」という相談の中には、その事業部長の感覚からすると、その位は自
分で判断できるだろうと思われるものも含まれているようで、今になって部門
の方針や自分自身の考えが伝わっていなかったことを思い知らされるという嘆
きも漏らされていました。

 さらに、「どうすればいいですか?」と相談が上がってくる中には、今まで
あまり気にしなかったが、「何を?」に関する情報が少ないという話もありま
した。当たり前ですが、「どうすればいいか?」を考える場面では、対象の事
柄(問題・課題)があって、「どうすればいいか?」を決定します。しかし、
想像以上に問題・課題に関する情報を収集し、ある程度整理して相談に来る部
下が少ないことに、改めて気づいたようでした。

 問題解決の場面でよく言われることですが、「どうする」という手段を考え
る前に問題・課題を整理しなければ、良い解決策を生み出すことはできません。
しかし、実際は問題・課題に関する情報が不足したまま進められていることが
多いのも事実です。「どうすればいいか?」を考える前に、部下(メンバー)
と一緒に問題・課題を再確認することも必要です。

 業績が順調に伸びていた時には、見過ごす?ことができたことも、環境が厳
しくなると手を抜いていたことは明らかになってきます。何処に行っても、あ
まり良い話題が出てこない状況ですが、反面仕事のプロセスを再確認する良い
機会であるとも言えます。これまで順調で、急に悪くなったものほど、仕事の
進め方が確立されていないものが多く、逆に言えば、改善の余地も多いのでは
ないでしょうか。

 「どうすればいいですか?」という会話が聞こえたら、何故判断に迷ってい
るかを探ってみると、新たなヒントが出てくるかもしれません。皆さんの周り
ではいかがですか?


             (2009/01/19 人材開発メールニュース第515号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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