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スゴくない研修?
 先日、ある企業の人材育成ミーティングに参加しました。丁度今期の研修が
ある程度終了し、現在の事業環境も勘案しながら、来期の人材育成、研修をど
のようにするかを検討するような内容でした。

 研修のコンセプトを打合せした時に、来期は「スゴくない研修をやろう!」
という話で盛り上がっていました。「スゴい」ではなく、「スゴくない」とい
う部分でメンバー全員が意気投合し、異様に盛り上がっていました。「スゴく
ない」って何?と思われるかもしれませんが、逆に「スゴい」という言葉にど
のような印象を持たれるでしょうか?

 「スゴい」という言葉は、よく耳にしますが、「並外れて…」という感じで
使用されることが多いと思います。また、使う人によって感覚的に異なるとは
思いますが、スゴいと認めているために、若干自分との間に埋められない距離
感を持つ人もいるように思えます。

 我々が話していた「スゴい研修」とは、素晴らしい内容で、理屈ではわかる
が、いざ自分が取り組もうと思うと、実現したり継続できるイメージが具体的
に思い浮かばない、逆に実現できない理由や原因の方が先に思い浮かぶ…そう
いう意味で共有していました。

 そこで前述の「凄くない」というキーワードが出てきたわけですが、要は受
講者が「スゴくはないけど、良い、役立つと思える研修」=受講者がスゴいと
受け止めるような内容はできるだけ削除して、「参考になった、これならでき
る」「いいな、やってみよう」と思える内容の研修を作ろうという話で進んで
いきました。

 くだらない話だと思われるかもしれませんが、現在の厳しい経営環境におい
ては、これまでの方法や枠組みが通用しないことを物語っています。最近特に
気になるのは、ミーティングや会議で新たな意見・アイデアが出なくなったと
いう声が増えていることです。アイデアが枯渇して何も打つ手がないと手をこ
まねく前に、こういう時期だからこそ、様々なアイデアを語ることができる仕
組みづくりや雰囲気づくりが必要になっているのではないでしょうか。


             (2008/12/08 人材開発メールニュース第510号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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