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誰かのために働くことも考えよう
 経済環境・雇用環境は混沌としていますが、若年早期離職者に関しては、あ
まり歯止めがかかっていないような状況です。企業側から聞こえてくる「忍耐
力が足りない…」、若年者側から聞こえてくる「入社前のイメージと違う…」、
実際現場で起こっていることは、一概には言えませんが、ミスマッチが生じて
いることは、事実だと言えます。

 私も学生や若年者の方と話す機会がありますが、最近気になるのは「自分の
やりたいことが見つからない」という話題が多いことです。「やりたい仕事が
見つからない」「自分が何に向いているかわからない」そういう類の話題は、
以前からありましたが、最近さらに増えているような印象を受けます。

 自己分析を含め、「自分のやりたいことを見つける、探す」ことは大事なこ
とです。しかし、“自分”という意識が強すぎる印象を受けることもあります。
自分のやりたいこと、自分のできること…自分の事にしか興味を持っていない
というと言い過ぎかもしれませんが、「自分の〜」と言う話を聞く度に、何と
なく違和感を感じることもあります。“自分の〜”を探すことを否定するわけ
ではありませんが、“自分の〜”を探すことに迷った場合には、他の人=“誰
かのために”働くことを考えるのも一つの方法です。

 当たり前ですが、ビジネスは一人でできるものではありません。確かに一人
で働いている人もいますが、一人で何かを作ったり、サービスを提供するにし
ても、それを受け入れてくれる誰かがいなければ、ビジネスは成立しません。

 誰かのために懸命に働くことは、尊いことだと言えます。
 家族のため、お客様のため、好きな人のため、尊敬する人のため、守るべき
人のため、見ず知らずの人のため、色んな誰かが世の中には存在します。自分
のことはさておき、誰かのために働くことを真剣に考え、真剣に考えたことを
追求していく中で、はじめて自分のやりたいことが見つかるかもしれません。
誰かがいなければ、自分の存在を認めてもらうことも、自分の存在を語ること
もできません。自分のことを追求するためにも、誰か(周囲)のことを考える
ことが必要です。

 若年者に限ったことではありませんが、自分本位の視点で自分を考えるだけ
でなく、社会・集団の中での自分を見つめることができるような機会・仕組み
を、もっともっと創造する必要があるのではないでしょうか。


             (2008/10/27 人材開発メールニュース第504号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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