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不安定な環境で強い組織
 金融不安・株価の暴落に伴い、経営環境も急速に変化しています。私の周り
でも人材や組織に関して見直しを図りたいと言う相談が少しずつ出始めました。
余談ではありますが、環境の変化を目の当たりにして、何となくではあります
が、流れてきた情報にただ単に従うだけで、歯止めが効かなくなっているよう
な印象を受けます。

 しかし実際に、人材・組織に関する見直しの相談が出始めているのも事実で
す。幸いな事に?私が相談を受ける内容は、先行きが見えない状態で、どのよ
うにモチベーションを高めていくかという内容が多い状況です。

 モチベーションを高めることを検討する際に、最近よく行っている方法とし
ては、過去を振り返り要因を分析する方法を行っています。具体的には、組織
もしくは個人のモチベーションが高かったと思われる時期を思い出し、その時
の状況をブレーンストーミングような形で洗い出しています。組織の体制や人
員構成、意思決定の進め方、業務の割り振り、採用や人材育成の進め方、評価
や報酬の決定方法など、とにかく思いつくものを洗い出して、今の環境に応用
できそうなものを検討しています。例えば、新しい商品・サービスが次々投入
できた時は、こんな意思決定をしていた、こんな採用をしていた、こんな人材
育成をしていた、こんなメンバー構成だった、とにかく思いつくものを洗い出
しています。

 勿論、過去と現在は、環境が違うために昔のやり方がそのまま通用する訳で
はありません。しかし、実際やってみると、具体的に検証はできないもののい
くつかの仮説(こうすればモチベーションが高まるのではないか)が出てきま
す。大事なことは、仮説を立てて、組織内で共有することにあります。

 先行きが不透明であればあるほど、不安が増幅する傾向があります。一番怖
いのは、打つ手が見えず浮き足立って、目前の業務・役割を遂行できない(し
ない)ことです。不安を払拭するためにも、経験則に基づいて仮説を立て、全
員で共有し、具体的に取り組む内容が見えると、安心感が生まれます。非常に
シンプルでありますが、やるべきことをわかりやすく明示する(拠り所がある)
ことが、組織のモチベーション維持・向上に寄与すると言えます。確かに価値
観は多様化しているため、個々人それぞれのモチベーションを高める方法は異
なります。しかし、その土台となる組織に一体感がなければ、個人のモチベー
ションにまで行き着かないとも言えます。

 大きな変化が起きている時ほど、取り組むべきことを明示できる・共有でき
る一体感を持った組織が、落ち着いて保有している実力を存分に発揮できる強
い組織と言えるのではないでしょうか。


             (2008/10/13 人材開発メールニュース第502号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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