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仕事の割振りをもう一度
 経営環境が厳しくなる中で、改めて「人材がいない」という声を聞く機会が
増えています。ニュアンスとしては、人が採れないということではなく、厳し
さを増す現状を打破してくれる人材が少ないと言うイメージで話されているこ
とが多いようです。

 そういう話題になると、必ず?マネジメント層が槍玉に挙げられます。過去
のコラムでも再三書いておりますが、マネジメントが機能していないと嘆かれ
ている組織ほど、経営(トップ)の期待するマネジメントと現場で展開されて
いるマネジメントがズレていることが多いようです。

 例えば、メンバーの育成に一生懸命取り組むマネジャーもいらっしゃいます
が、担当部門の成果によって、そのマネジャーの見方(評価)も分かれる傾向
があります。良い成果を挙げている場合は、成果も挙げメンバー育成にも真剣
で素晴らしいマネジャーだと賞賛されるます。しかし、成果が伴っていないと、
やはり批判にさらされます。

 メンバーの育成は、勿論重要で、当然それを否定するわけではありません。
しかし中には、メンバー育成のスペシャリスト(専門家)になっていて、メン
バーの育成を理由に期待されている成果・パフォーマンスが疎かになっている
ことがあるのも事実です。

 様々な定義の仕方がありますが、マネジメントを行う人材(=マネジャー)
に期待されていることは、担当部門の行動・成果・パフォーマンスに責任を持
つことにあると言えます。責任を果すために、メンバーの育成を目的とするの
か、手段とするのか・・・その上で、自らが直接行うのか、誰かに依頼するの
かを決めなければなりません。

 いずれにしても、担当部門の行動・成果・パフォーマンスに責任を持つため
には、仕事の“割振り”を決めることが重要です。前述の「人がいない」「組
織が機能していない」という話に戻ると、そういう話題が出る組織ほど、求め
られる行動・成果・パフォーマンスについては目標が設定されているものの、
割振り関しては十分話し合ってなかったり、決まってなかったり、トップと現
場で誤解が発生していることが多いと言えます。

 当たり前のことですが、最初の割振りが違っていると、ずっとボタンは掛け
違ったままになります。割振りを変えることで、組織は変わります。人材がい
ない?と嘆かれる前に、もう一度仕事の割振りを真剣に考えることも必要では
ないでしょうか?


             (2008/09/01 人材開発メールニュース第496号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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