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希望・早期退職募集の復活?
 少々、暑苦しい話題で恐縮だが、古くからのお客さま(建設業)に約2年ぶり
に声がかかっておじゃました際、久しぶりということもあって管理部門だけだ
が社内の雰囲気が何となく異なって感じた。

 打ち合わせに出てきた担当者に、挨拶もそこそこに自分が感じた雰囲気をそ
れとなく伝えると「実は…」と切り出されたのが、同社は2日前から早期退職
者募集を始めたとのことであった。早期退職の理由は業績低迷、公共工事の激
減や不採算工事による利益率の低下などとのことであった。

 思えば、希望・早期退職のピークは2002年、東京商工リサーチによれば、希
望・早期退職募集を実施した上場企業は約200社に上るという。そのころ、縁
あって行政の再就職のための就職活動ノウハウの指導という仕事をやっていて、
先週、新聞で経営破綻した企業の報道があったと思ったら、その企業の中高年
社員が目の前に座っていることが度々あり、とんでもない時代の真っ直中にい
ることを実感し、その仕事の責任や使命をひしひしと感じていたことがあり、
担当者との話も上の空で、数年前の自分にトリップしてしまった。

 先の商工リサーチの調査によれば、上場企業の希望・早期退職募集は2006年
は46社だった。ところが、2007年は60社と増加し、2008年に至っては上半期だ
けで37社と勢いを増している。上場企業だけでこの数字だから子会社や非上場
企業の数の多さは想像するだけ寒くなる。

 しかし「時代は繰り返される」とはよく言ったもので、失われた10年ではな
いが、平成不況にリストラの嵐が吹き荒れたのは、ほんの数年前であり、常に
仕事として関わってきている学生の就職市場を見れば、「就職氷河期」「どし
ゃぶり就職」から「就職温暖化現象」の間でも10年はないのである。

 そして常にリストラのターゲットになるのはサラリーマンであり、多くの希
望・早期退職が35歳以上あたりを対象者とすることを考えれば、いつの時代も
「中高年受難の時代」といえないこともない。

 反面、私は、一方の当事者として再就職の現場にいた者として、セカンドキ
ャリア制度といった格好良い言葉で、転職、転身を迫られた人たちの無念さや
辛さ、悲哀を忘れることはできない。今、株安、円高、原料・原油・材料高、
サブプライムローン問題といった未曾有の荒波の中に日本経済・経営は漂い始
めた。あのような時代に戻ることのないことを祈るこの夏である。


             (2008/08/25 人材開発メールニュース第495号掲載)


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