Back Number

許せない教員採用に関する不正
 読者の皆様、暑中お見舞い申し上げます。
 話は突然変わりますが、大分県教育委員会の汚職事件は信じられないことば
かりだ。私は校長・教頭に昇格・昇進するために教育委員会幹部に賄賂を贈る
ことは、もちろん悪いことだとは思うが、所詮、人間の業というか、校長・教
頭も人の子、偉そうなことを言っても腹の中は腐っていることが証明されただ
けで、早々に贈収賄罪に問われて刑罰を受ければいいと考えている。

 許せないのは、教員採用に関する汚職、不正、口利きである。そのことによ
って晴れて?教員になった校長・教頭の子どもたち、県議・市議、果ては地元
大分合同新聞社の幹部社員の子ども…不正で教員になった人たちに教えられて
いた子どもたち、そんな先生から「悪いことをしてはいけない」と言われてい
たかと思うと、教わる子どもたちの不幸を呪いたくなる。そのうえ、不正によ
って点数を操作されて合格した人はいいが、その不正によって「操作されて落
ちた」教員志望の人たちの気持ちを考えると辛い。

 私は某大学で、教育学部の学生も一部含んだ形で就職指導をしている。思い
出すだけで3−4人、地元大分で教採試験を受けた学生たちがいる。記憶は定
かではないが、大分は狭き門ということもあり、教員になれたのは1人だけの
気がする。直近で覚えている女子学生は教採に落ち、大分県内で塾講師をして
いるはずである。一連の報道に接して当事者であるその女子学生は、どのよう
な気持ちでいるのか心が締め付けられる。

 この事件は、校長・教頭・教員、地元新聞社幹部、県議・市議が口利きして
くれる金もコネもある子どもたちと、金は別としてコネもなく実力で壁を乗り
越えようとして壁にはね除けられた子どもたちとの「格差」の問題なのかもし
れない。何せ、教員になるための知力・学力も不足する校長の子どもが金とコ
ネで得点を買って教員になれるのだから、「持てる者」のみが思うように生き
られる時代ということだ。

 大学で模擬面接をやっていると、教員志望は「親が教員だから」、公務員志
望は「親が公務員だから」という志望動機にいつも納得できない。もちろん教
育者・公の奉仕者として親の生き方、仕事ぶりを尊敬しているから…との論理
も成り立つが、コネが使えるからとも聞こえなくもない。私は何度も「教員、
公務員は世襲か!」と彼ら彼女らに問うが、本人たちのその問いへの反応は鈍
く、いつもすれ違いで終わってしまう。

 大分といえば、Jリーグ大分トリニータの選手で、北京五輪代表選手が「警
告をわざともらった」とブログに書いて騒動になっている。サッカーはtotoと
いう大金が動く影響力のあるものだ。まして日本代表は国の代表でもある。そ
んな代表にこの選手がふさわしいのかも疑わしい。でもそこは「大分」、厳重
注意を受けるくらいで、神妙な顔はしているが、北京に向かうんだろうな。


             (2008/08/04 人材開発メールニュース第493号掲載)


Go to Back Number Index
Go to Top Page