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育成する側の視点と育成される側の視点
 数年前と比べると、企業における人材育成が活発化している印象を受けます。
特に最近は、人材育成力が低下しているので何か手を打たなければ…そういう
話題を聞く機会が増えました。研修についてもボリュームを増やしている企業
が多い印象を受けます。

 人材を育成したい…何とかしたいという話題は、本当に良く聞きます。しか
し、私個人的には、少し育成する側の視点に偏っている印象を受けることもあ
ります。育成する側に偏ると言うのは、育成される側ではなく、育成する側の
視点で、何をすべきかを考えているようなイメージです。

 性善説・性悪説?ではありませんが、人材育成の対象者である人材に対して
2つの捉え方があります。1つは、「人は自ら育つ」という考え方であり、も
う1つは、「人は自ら育たない、だから何かをしなければいけない」という考
え方です。どちらも間違いではありませんし、どちらも必要な考え方です。

 育成する側の視点が中心になると、どんな育成を提供するかという話題に偏
る傾向が強くなります。与えることが悪いということではありませんが、視点
を変えて、「人は自ら育つ」そのために「育成・成長を阻害する要因は何か」
を考え、阻害要因を取り除く視点も必要だと言えます。

 人材育成熱?が高まる中で、人材開発部門、職場の上司・先輩は、何かをし
なければいけない=育成する側中心の視点で考えがちです。しかし、アイデア
が煮詰まった時には、相手(部下・後輩)視点で阻害要因を検討していくと新
たな方法が見つかることもあります。
 積極的に人材育成に取り組むこと、計画的に育成すること、教えることは、
勿論大事ですが、たまには「May I help you?」と言う感覚で、育成の対象者
に接してあげることも必要ではないでしょうか?


             (2008/06/02 人材開発メールニュース第484号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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