Back Number

キャリア・コンサルティングへの期待と不満
 先週、東京でジョブ・カード講習(中央研修)を受講しました。また先日、
中央職業能力開発協会から「キャリア・コンサルティング研究会」の報告書が
発表されました。先週は、キャリア・コンサルティングやキャリア・コンサル
タントについて考える時間が多い一週間でした。

 私の周りでもキャリア・コンサルティングやキャリア・コンサルタントに関
する期待や不満について、色々な話を伺う機会があります。
 期待の現れとしては、これまで以上に各方面の方々から、今後キャリア・コ
ンサルティングが必要だという話を聞く機会が増えました。一方、不満として
は、カウンセリングを受けてみたが、コンサルタントと言うよりも、アナリス
ト(分析家)みたいな感じだったという話も伺います。来談者が自身のキャリ
アや悩みについて、分析はしてもらったが、診断はしてもらえなかった…そん
な声を聞くこともあります。

 勿論コンサルティングを行うには、分析することも必要です。しかし来談者
が不満を述べる背景には、来談者の立場から考えると、「同じ視点で、一緒に
悩む、考える」という感覚が得られず、「一方的に」という感覚が強いのでは
ないでしょうか。キャリア・コンサルティングに限ったことではありませんが、
コンサルを嫌う意見の多くは、“同じ立場に立って”という共感の視点が不足
していることが多いように思われます。

 就職支援や職業紹介の現場では、キャリアの棚卸しを行うことがよくありま
す。十分に棚卸しできていない(記述できていない)場合に、不足している部
分を単に指摘するだけでなく、どうして記述していなかったかを一緒に考える
ことも必要です。そのようなやり取りの中で、少しでも来談者が、自ら気づき、
自ら記述できるようになることが大切です。コンサルタントが問題を解決する
のではなく、来談者自らが、問題解決に向けて動き始めることを支援すること
が必要だと言えます。

 前述の通り、キャリア・コンサルティングに関する期待が高まる中で、キャ
リア・コンサルタントの活躍の場も拡がっていくものだと思われます。その期
待に応えるためには、当たり前の話ですが、来談者が困ったときに「また相談
したい」と思うサービスを提供することが必要です(私自身、コンサルタント
として未熟で、力不足を感じる場面が多々有ります)。
 来談者にカウンセリングを提供するだけでなく、カウンセリングの現場で来
談者からフィードバックを受け、コンサルタントと来談者が共に成長できるよ
うなキャリア・コンサルティングを目指したいですね。


             (2008/04/28 人材開発メールニュース第480号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page