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相変わらずの偽装列島
 昨年は食品の偽装のオンパレードで幕を閉じたが、年が明けても増えること
はあっても、減ることはないほど相変わらずの偽装列島が続出している。

 特に、古紙配合率の偽装は、世の中の環境重視の傾向を逆撫でするような酷
いものである。それも古紙100%と言いながら、90-95%といった多少の幅の範
囲ではなく、40%にも満たない配合であったり、再生紙ハガキに至っては40%
表示が20%、インクジェット再生紙はがきでは公称40%が実際は0%という。
 偽装どころか詐欺に近い。さらにこの偽装問題で根深いのは1社、2社が問
題を起こしたのではなく、大手製紙メーカーの大半が同様でほとんど業界ぐる
みで偽装をしていたことが判明したことだ。

 また、大手製紙メーカーの首脳陣が「100%古紙再生紙は、元々、不可能に近
かった」と話したところを見ていたが、ならば「私の所は無理です」と言えな
いこの会社の首脳陣の姿勢が気になった。他者との競争は激しく、できないと
いえば売上げに響くとはいえ、結果として、業界ぐるみで偽装の競争をしてい
たことに気がつかないのだろうか。数年前に、大手製紙メーカーが同業に敵対
的買収を仕掛けてマスコミの話題をさらい、さも戦略的な観点からの買収と誇
示していたが、その足元は偽装で充満していたことになり、笑えない喜劇でも
見ているようだ。

 私は残念ながら、今回の偽装に関係する企業で仕事をしたことはない。だか
ら、各社の社内で掲げられている社是社訓、経営理念、行動指針を見聞きした
ことはない。まさか、関係各社の経営理念に「嘘はつかない」「誠実」「真実」
「正義」「倫理」「環境に配慮」「法令遵守」「企業の社会的責任」「革新創
造」といった言葉は入っていることはないだろう。仮に入っているとしたら、
それは欺瞞であり、自らが自らを裏切ったことであり、あるいはあくまでもお
題目、外向きのスローガン的なものと言っているようなものだ。年金問題の時、
政府関係者が「選挙期間中だから省略した」「公約を破ってもたいしたことで
はない」と宣っていたが、それと同じレベルだろう。また、「いやあ、当社の
古紙再生技術は他社と比べても…」なんて企業や行政に売り込んでいた製紙メ
ーカーの営業マンたちは、その決定的な嘘をどうやって取り繕うのだろうか。

 究極の営業トークを是非、教えてもらいたいものだ。


             (2008/02/04 人材開発メールニュース第468号掲載)


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