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大学・学部名の動向(2)
 あっという間に、今年も12月。先生も走り回る時期に突入した。走る先生と
いえば、先般の大学における珍名学部の続きをしたい。
 新聞を読んでいたら、ある大学の「学校教師学部」という学部の学生募集の
広告が目に止まった。最初は、既存の先生のブラッシュアップをする学部かと
勘違いした。当然のことながら、教員養成を目的とする学部であった。
 通常であれば、「教育学部」と銘打つのだろうが、他校との差異化、もしく
は官庁の「同じ名前はダメよ」的ご指導でこうした名称になったのかと思う。

 そこでちょっと調べてみた。すると、教育人間科学部、教育地域科学部、学
校教育学部、教育福祉科学部、臨床教育学部、発達教育学部、子ども学部…と、
出るわ、出るわの新名称の数々。中には教育文化部があると思えば、文化教育
部と逆に示せば新名称というものもあった。さすがに珍名、奇名、カタカナ名
の類はないが、苦労の後がしのばれる。

 教育学部というのが使えないのであれば、思い切った大胆な名称がいいので
はないか。最近、めっきり少なくなったという“熱血教師養成学部”なんてど
うだろう。えっ、そもそもなり手がいないですよと言われればそれまでだが。
また、テレビ番組を流用してTBSとタイアップ「金八先生養成学部」はいか
がか。もちろん教授陣(学部長でもいいかな)に武田鉄矢氏が加わるのは当然
で、武田氏の講話を聞くだけでも価値があるだろう。

 更に、有名な先生のニックネームにあやかるのはどうだろうか。ヤンキー先
生養成学部、オール1先生学部、夜回り先生学部なんていう学部だ。多少の勉
強嫌いでも将来に希望の光が差し込む気がするが、いかがだろう。ヤンキー先
生養成学部に至っては、「先生を経て参議院議員を目指す」とサブタイトルを
つけるとインパクトがあるかもしれない。

 団塊の世代の退職が始まって教師不足が喧伝されている。その影響で教員養
成を目的とする学部の新設が増加しているという。しかし、都市への一極集中
も極まり、本当に不足しているのは大都市圏だけとも言われている。

 私は教育学部のある大学に仕事に行くが、関係者によると地方の教員採用数
は少なく、臨採でなんとか…ということらしい。その反面、大都市の門戸はゆ
るく、広い。「あいつが先生かよ」と言う声が続出しているという。地方がダ
メなら大阪に行け、大阪がダメなら東京都か神奈川県に行け、そこでも落ちた
ら横浜市に行け、横浜市で落ちたら、もう教員はあきらめろ。そんなことがま
ことしやかに伝わってくる。ちなみに教員採用予定数をみると東京都は1000名、
神奈川や横浜は6-800名にもかかわらず、30名という県もあるのだ。

 現在、横浜市で先生をやっている人たちを揶揄するつもりは毛頭なく、優秀
な先生も多いとは思うが、学部学科の名称はなんであれ、教師の粗製乱造は避
けて欲しい。迷惑を被るのは子どもたちだ。


             (2007/12/03 人材開発メールニュース第460号掲載)


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