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食の安全について考える
 「食の安全」が叫ばれて久しいが、北海道の食肉偽装に始まって製造偽装、
名古屋コーチン、比内地鶏といったブランド肉の偽装…もはや日本全体が偽装
列島になりつつある。

 我が家では以前、同コラムでも書いたが、兼ねてから何らかの偽装や不祥事
が起こしたメーカーの製品は、食卓から一切消える運命にある。白い恋人、赤
福といういわゆる食の「赤(紅)白」問題は甘い物が苦手な私としては影響度
は低いが、焼き鳥大好き、鶏肉大好きの私にとっての比内地鶏、名古屋コーチ
ンは高級品がゆえにそう口にすることもないとはいえ、少々事態は深刻になる。
とりわけ、比内地鶏に関しては偽装されたとしてニュース報道された商品その
もの(比内地鶏薫製)を何度か購入して食したこともあり、今後のことを考え
る以上に過去を振り返ってトホホ…の気分で一杯だ。

 こうして我が家の食卓からは、雪印製品は一切消えた。同じもので雪印製品
しかない場合は買わないし、高価な物があったとしてもそちらを優先する。日
本ハム製品、加ト吉も買わない、中国製も駆逐された。といっても、ミートホ
ープ社のように加工された食品で外食産業などに渡って調理されてしまえば全
くわからない。日々、口にしていると思うと空恐ろしいが、出されたものを疑
えばきりがない。

 せんべい、からし明太子、ゼリー、菓子、ウニの寿司パック、パン…賞味期
限切れ食品の販売問題も数多く報道されているが、当事者の弁明が共通してい
るのはなぜだろうか。曰く、「実害は出ていない」「クレームは来ていない」
「今後は品質管理を徹底したい」ほぼこんなコメントばかりだ。

 そしてさらに不思議に思うのは、消費者が気にするほどに製造者・販売者側
が賞味期限や消費期限に無頓着な点である。結構、消費者・購入者から指摘さ
れて事件が発覚することが多いと思うが、供給側はチェックしないのだろうか。
それとも悪意か…。私はこうした問題には門外漢だが、たぶん、JAS法とか
食品衛生法に基づいての決まりがあると思うのだが、それに対して「実害は出
ていない」「クレームは来ていない」「今後は品質管理を徹底したい」という
コメントは、「実害は出ていないから大丈夫」「クレームは来ていないから(
たまたまクレームが出ただけで、多くの人は賞味期限切れを食べても死にはし
ない)」「(今まであまりやっていなかったが)今後は品質管理を徹底したい
(といっておけば大丈夫)」としか私には聞こえてこない。

 まあ、報道されるメーカー、販売者ばかりではないことは確かだが、人間、
食べることと寝ることは大きな楽しみであり、特に私のような貧乏人はたまに
しか口にできない環境にあると本当に楽しみなのだ。それを奪わないで欲しい。
 もうすぐ冬本番、今年は年に一回の比内地鶏尽くしの「きりたんぽ」、お預
けされそうだなあ。きっと寒風が体にしみる冬になりそうだ。


             (2007/11/05 人材開発メールニュース第456号掲載)


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