Back Number

問題解決の問題解決?
 最近「問題解決」?をテーマにした研修を行う機会がありました。技法的な
研修ではなく、考え方を中心にしたものです。その背景には、経営トップの考
える問題解決と現場のマネジャーの考える問題解決の捉え方にギャップが生じ
ていたためです。
 もう少し具体的に言えば、経営トップは「いかに問題を発生させないか」を
問題解決の中心テーマに考えているのに対し、現場では「問題解決」と言えば、
発生した問題にいかに対応するかを中心に考えていたためです。

 経営トップ、現場のマネジャーともに同じ「問題解決」という言葉を使って
いますが、その目指すべき方向は全く異なっていました。当然のことながら、
経営トップから見れば、いつもでたっても現場の「問題解決力」が向上しない
と嘆いていますし、逆に現場からすると一生懸命「問題解決」に尽力している
のに、トップは理解してくれない…そんな雰囲気が漂っていました。ややこし
い話ですが、問題解決という言葉の問題解決をしなければならないような状態
です。

 このようなベクトルの相違は、「問題解決」に限らず、様々なビジネスの場
面において、よくあることです。組織における問題解決は当然のことながら、
メンバー間で問題を認識する・共有することからスタートします。使い慣れた
便利な?言葉であればあるほど、意味の共有をしないままに進められ、途中で
メンバー間で疑心暗鬼になることもあります。

 最近、人材開発でもそうですが、プロジェクトチームを作ってビジネスを進
めることが増えています。立ち上げたプロジェクトが思うように進まない、停
滞してしまう一つの要因として、目的・目標・問題(課題)が意味のレベルで
共有されていないことが挙げられます。言葉としては共有されているものの、
捉え方がメンバー間で異なっているという状態です。特にコンセプトを共有す
るために、略語や造語が形成され、あたかも共通言語として扱われますが、そ
の意味がバラバラに捉えられていることもあります。略語や造語を使用してシ
ンボリック?にしたために、逆に曖昧になってしまうこともあるのではないで
しょうか。

 プロジェクトに限ったことではありませんが、問題解決をする時、問題解決
が上手く進まない時には、問題に立ち戻ることが鉄則です。問題を定義するた
めに当たり前に使っている言葉をもう一度確認するところから、始めることも
必要ではないでしょうか。


             (2007/10/29 人材開発メールニュース第455号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page