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階層の隙間について考える
 巷では新卒・中途に限らず企業の採用意欲が高まっていると言われます。た
しかに私がお手伝いしている企業でも新卒・中途といった正社員だけではなく、
アルバイト・パートと言った雇用形態においても、思うように人(人材)が採
れないという話が増えています。足りない部分を外部資源で補う=採用を単独
で考えるのではなく、採用も含め、より強固な組織作りができるかどうかが、
課題になっているように思われます。

 採用で悩んでいる企業に限ったことでありませんが、人材の獲得が難しくな
ればなるほど、組織の見直しが必要になります。経営戦略・事業戦略を推進し
ていくため、強固な組織を作っていくために、ウィークポイントはどこか?も
う一度整理する必要があると言えます。採れないと嘆かれている企業ほど、自
社の組織上の課題が整理されていないことが多いような印象も受けます。

 最近、顧客企業の人材開発をお手伝いをする中で、“階層の隙間”について
検討する時間が増えています。難しいことでなく、単純にどの階層が厚く、ど
の階層が薄いかを分析しているわけですが、年齢、役職(ポジション)、職能
(機能)など、複数の視点で人数が多い・少ないなどヒアリングしながらまと
めています。
 当然、最初は階層ごとの人数に焦点を当てながら、話が進むわけですが、お
もしろいことに?どこの企業でも必ず人数ではなく役割の話に焦点が変わって
いきます。人数(量)が足りているかどうかではなく、役割を遂行するマンパ
ワー(質)が足りているかどうかいう話に変わっていきます。

 例えば、ベンチャーでオーナー企業の場合は、社長と幹部クラスと言われる
階層の間に大きな隙間が発生するケースが多いようです。もう少し成長した企
業では、幹部クラスとミドルマネジメントクラスの間に隙間が発生することが
多いような感じです。実際は、各企業によって様々ですが、どこに隙間がある
かを見つけていくことは、人材開発の課題を整理する上で、重要なポイントに
なります。

 階層の隙間を分析した次の段階で大事なのは、階層の隙間について共有する
(少なくともマネジメントクラス以上が共有する)、さらに隙間を埋める意志
を共有するということになります。
 当たり前のことですが、“隙間を埋める意志の共有”が、課題解決の推進力
になります。しかし実際は、課題(問題)は認識しているものの、解決するた
めの推進力が弱いことが多いようです。

 採用で困られている企業においては、階層に隙間について、真剣に協議して
みる、それぞれの認識を確認してみると、問題解決の糸口が見つかるのではな
いでしょうか。


             (2007/10/22 人材開発メールニュース第454号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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