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研修の現場から〜早期フォロー、早期ケア
 5月中旬に大阪の某研修センターで仕事をしていた。企業の研修所ではなく、
オープンにさまざまな企業が利用できる施設である。

 私の関係する企業だけでなく多数の企業の研修が立て込んでいたが、その中
で、某大手小売業の「平成19年度新入社員フォロー研修」という看板が目に
付いた。100人近く受講生がいただろうか。さすが流通大手と感心していた。
 しかし、平成19年度といえば、今年の4月入社、まだ入社して2ヶ月を経
過していない段階でのフォロー研修である。何が常識かは何ともいえないが、
フォロー研修と言えば少なくても3ヶ月経過した時点、多くは6ヶ月後(試用
期間終了後)、8ヶ月(年末)、ほぼ1年(3月)程度の開催が一般的ではな
いだろうか。もっともこれまでの期間は仮配属で職場研修をしていて、このフ
ォロー研修後に正式配属になる…といったことかもしれない(まったく縁もゆ
かりもない企業に「すみません。研修開催の主旨は…」と聞きに行くこともで
きずに悶々としてしまった)。

 私の穿った見方で恐縮だが、折しも新卒採用は競争も激しく確保は容易でな
い時代に突入した。そのうえ、“七五三現象”に象徴されるように若年層の早
期退職は留まるところをしらない。そこで人事・教育部門が考えたのは、配属
してすぐ、もしくは定期的にフォロー研修を実施して、技術・技能習得という
よりはメンタル面のケア(要はガス抜き)やモチベーションの維持・向上を図
り、せっかく確保した人員に退職者や脱落者を出さないように…との配慮から
の開催ではないかと私は踏んでいる。
 とても主流に成り得るとは思わないが、私のお客さま企業で新入社員全員を
「人事部付け」の身分として人事部が管理、精神面や心情面でのケアをしてい
るところがある。もちろん実務知識・技術は仮配属先のOJTで推進されてい
るが、上司はプレーイング・マネジャー、中堅層の人材も薄いということでの
苦肉の策でもある。私も個別の面談フォローに付き添ったことがあるが、当然
のように、新人といえども多くの問題を抱えていて、改めてこの手のフォロー
の大切さに直面する。

 残念ながら、目の前の研修開催の目的や意図はわからずじまいだったが、理
由の如何に問わず、早期フォロー、早期ケアに直結することであり、実施する
ことには大いに賛成である。


             (2007/06/18 人材開発メールニュース第437号掲載)


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