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社外の専門家を利用する前に…
 景気が上向いている中で、採用を中心に人材に関する注目が高まっています。
私の周りでも、企業規模に関係なく、人材開発に関する様々な相談や依頼が増
えています。
 私のように、顧客企業から採用や教育・研修に関する相談・依頼の受けて、
サービスを提供している立場の人間からすれば、相談・依頼件数が増えること
は喜ばしい限りです。ただし、相談・依頼の内容を冷静に分析すると、「教育・
研修すれば、専門家に任せれば、何とかなる」という安易な考えで持ちかけら
れているケースも増えているように思われます。

 当たり前の事ですが、教育・研修は手段にしか過ぎません。本来の目的は、
事業を推進していくための人材を育成することにあると言えます。人材を育成
するためには、どうしたいか(どうすべきか)という「目標」が必要になりま
す。その上で、現状と照らし合わせて、「課題」を分析し、「解決策」を立案
していく必要があります。教育・研修に限ったことではありませんが、「社内」
でやるべきことと「社外」を上手く利用することを検討していく必要がありま
す。特に、規模の小さな企業においては、社内でやるべきこと(やった方が良
いこと)と社外(専門家)を利用すべきこと(利用した方が良いこと)を検討
しないままに、教育・研修を丸投げするようなケースも見受けられます。言う
までもなく、これでは教育・研修を行ったという事実は残りますが、人材育成
に貢献できたか、社内に人材育成のノウハウが蓄積されたか、ということにつ
いては疑問が残ります。

 人材開発に関して何かを実施しようと考える場合、簡単な方法ですが、前述
の「目標」「現状」「課題」「解決策−社内実施」「解決策−社外利用」と言
う項目を、1枚の紙に思いつくまま書いてみるのも一つの方法です。少なくと
も、社外の専門家(外部)を活用する前に、そこに書き出した内容を一度社内
で検討・議論することをお勧めします。
 また、折角外部を利用されるのであれば、その外部を利用しようと考えたプ
ロセス(きっかけ)も含めて、相談されることをお勧めします。外部にただ単
に教育・研修を相談・依頼されるだけでなく、相談・依頼するまでの検討した
プロセスも可能な範囲で開示した方が、より良い手段や情報が提供されるよう
に思われます。

 人材に注目が集まり、採用や教育・研修への関心が高まっている?時代の流
れは、喜ばしいことです。折角、何かに手をつけるのであれば、実りあるもの
にするためにも、基本に戻って「何のために」「どんな人材を育てたいか」を
上手く外部を利用しながら、考えてみてはいかがでしょうか?


             (2007/05/28 人材開発メールニュース第434号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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