Back Number

就職氷河期世代の活性化
 4月が終わろうとしていますが、今年は、新卒採用が多かったこともあり、
例年以上に多くの新入社員の姿を見ることができました。これからどのように
育っていくかが大事なポイントではありますが、やはり新しい人が入ると、職
場が賑やかになり、活気付いている印象を受けます。

 反面、最近気になるのが、就職氷河期に入社された30代前後の世代の方々で
す。私の周りだけかもしれませんが、30代前後の人材は元気が無いという声を
聞く機会が増えています。元気が無いと言うよりも、自信が無い人が多いとい
う話を同じタイミングで、複数の企業の人事担当者から話を聞くことがありま
した。
 2000年前後、就職氷河期と言われていた時期に入社した人材は、厳しい選考
を経て入社した人材です。当時は、採用を絞っていたこともあり、例年に比べ
ると優秀な人材を採用できたという話を聞いていました。ところが、その世代
が30代前後になった今現在、元気が無いと言われているようです。

 全てというわけではありませんが、就職氷河期と言われる時期に入社した人
材は、採用時また入社時も厳しい環境だったこともあり、褒められる機会が圧
倒的に少なかったように思われます。どちらといえば、厳しい言葉を投げかけ
られることが多く、常に周りの評価を気にしながら…、そういう環境で仕事を
してきた人が多いのではないでしょうか?
 この世代に限ったことではありませんが、どのような環境で仕事をするかは
重要なポイントです。特に社会人3年目ぐらいまでにどのような経験を積むか
は、その後の職業人生に大きな影響を与えると言えます。本人も周りも知らず
知らずの内に、成功よりもできるだけミスを無くす・少なくすることに目が向
いていたのかもしれません。そのような環境では、自分自身や自分の仕事に自
信や誇りを持つことは難しいと考えられます。

 例年以上に採用した新入社員の育成も勿論大事ですが、いつの時代も新人は
先輩の背中を見て育っていくように思われます。職場で最もアグレッシブに活
躍して欲しい30代前後の社員に元気が無ければ、職場全体の雰囲気も良くなり
ません。30代前後の方がもっと活躍できるように、より大きな仕事を任せたり、
より多くの意見・考えを引き出したり、意識的にスポットライトをあてること
も必要ではないでしょうか。元気のある企業は、中堅社員と言われる層が、意
欲的に働いている企業が多いと言えます。フレッシュな新人を迎え、企業全体
の活力を高めていくためには、中堅社員の活性化を考えることも必要ではない
でしょうか?


             (2007/04/23 人材開発メールニュース第430号掲載)
                          humanize:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page