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暖冬の中で…
 今年は本当に「暖冬」で、というよりも、異常気象と言った方がいいかもし
れないくらいに暖かい冬を過ごした。お陰様で、年に1−2回はある雪での立
ち往生や移動手段の変更は一度もなく快適であった。

 そんな中、2月上旬に青森に行った。ここ7年間ほど定期的に青森に行って
おり、この時期はうんざりするほどの雪、雪、雪…に圧倒されていたが、今年
は空港に降り立った時点で寒さもさほど感じず、現地に向かうタクシーで窓か
ら見た風景は「ここはどこだ?」と思えるほど雪が少ない。山間部でも30セ
ンチも積もっていない。道路にも雪がない、家の屋根にも雪がないと、ないな
いづくし。もちろん畑など人が通らない場所はそれなりに積もっているが、そ
れでも例年に比べれば格段に少ない。

 青森の大学に行く。天気は快晴、気温は3月中旬並、寒いどころかポカポカ
だ。すれ違う学生たちも心なし晴れやかな表情、驚くことに顔が合った学生が
「こんにちは」「チワースッ」「オッス」と声をかけてくれる。この行動に一
瞬戸惑う。この地で、こんなに挨拶をされた記憶が過去にない。こちらからは
努めて学生にも声をかけるが多くは無視されていることの方が多い。学校全体
で挨拶キャンペーンでもやっているのかと、キョロキョロ周囲を見渡すがその
手の表示もない。

 そのとき、ある考えがひらめく。この時期、青森は雪に覆われ、そのうえに
雪が降り続く。加えて、風が強く吹雪くことも多い。空は低く日々、曇天であ
る。外を歩く際は、背中を丸めて顔も下を向きがちである。ところが、今年は
雪もない。顔を上げて堂々と歩ける。そうした環境が多くの学生を自然に挨拶
に向かわせるのではないかと。

 天気、明るさ、暖かさ、雪を気にしなくてもいい…そんな環境。南国の人た
ちが開放的と言われるのがわかる。多分、暖かく気持ちの良い環境が「気分」
として人を自然に開放的にさせるのだと思う。
 というわけで、今年は「青森を脱出する」という決死の覚悟もなく、のんび
りと青森空港を後にした。


             (2007/03/05 人材開発メールニュース第423号掲載)


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