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安全策と強攻策?
 最近、組織人事の話をしている時に、安全策と強攻策という話題がありまし
た。安全策とは、当面の経営課題や組織課題を想定して、最もリスクを少ない
方法を採ると言うイメージです。一方強攻策?は、失敗する可能性がある、リ
スクは高いかもしれないが、思い切ってやってみるというイメージです。

 体制変更や組織変更を行う場合、様々な意見を聞いて、最も良い方法を選択
しようとするとやはり安全策に偏ってしまう傾向があります。組織人事に限っ
たことではありませんが、メンバーの納得感を優先する場合、メンバー全員に
とって最もリスクが少ない方法に落ち着くのは、自然な流れと言えます。

 しかし現実には、昨今の技能伝承の話題に代表されるように、専門性が高い
仕事において、いつまでもできる人だけに任せておくと、代わりがいない、育
たない状況が続き、培われた技能が消滅していくようなことも起こりうると考
えられます。

 強攻策を採るには、ある意味、合議・合意ではなく、独断が必要なこともあ
ります。当然、強攻策を採るまで、採った後にも、メンバー、メンバー間にコ
ンフリクト(葛藤)が発生します。ただそうしなければ、解決できないような
課題もあると思われます。
 毎年、毎回、慢性的な課題を挙げる組織では、安全策を優先して進められて
いることが多いようです。強攻策を採れば、必ず解決できるということではあ
りませんが、本当に安全策がベストなのか、何故、強攻策を採れないのかを、
真剣に考える余地はあるように思われます。細かい話ですが、合議して「決め
なければいけないこと」と「決めた方がいいこと(決めた方がいいが、決めな
くてもよいこと)」は異なります。
 一番怖いのは、安全策を採っている間は、メンバーから不満が出てくること
が少ないため、誰も何も言わない…その間に、環境変化から取り残されてしま
うことだと言えます。

 安全策と強攻策、どちらが良いと言うことではありませんが、絶えず振り返
ることは必要です。極端な話をすれば、成長性の高いベンチャーにおいては、
合議・合意の上で強攻策を採っている企業・組織が多いように思われます。組
織を運営する上で、メンバーの納得感を担保することは大事なことです。ただ
何のために、何に対して(自分?自社?顧客?利害関係者?…)納得している
のかは、いつも意識すべきではないでしょうか。


             (2007/02/12 人材開発メールニュース第420号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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