Back Number メリット・デメリットを考える 先日、ある企業の人事担当者の方とお話をする機会がありました。入社3年 前後の若手と呼ばれる社員の話題だったのですが、最近の?若手社員は、物分 りは良く、指示されたことには一生懸命取り組んでいるが、同期入社のメンバ ーにおいても徐々に差が見え始める時期でもあると言われていました。特に差 を感じるのが、トラブルやクレームに遭遇した場面で、「視野が狭い」人材は、 苦労しているという話をされていました。 「視野が狭い」と言っている部分を少し分析して考えると、物事の見方が一 方的・短絡的だと言われているようでした。指示されたことや目前の出来事に 集中しているのはいいことですが、「少し冷静に考えると…」「全体的に考え ると…」そういう部分に欠けると言われているようでした。 若手社員に限らず、物事を一方的・短絡的に考えるのではなく、複眼的にと らえるということは、重要なことです。代表的な例を挙げれば、SWOT分析にお ける機会と脅威といったものが挙げられますが、環境や出来事に関しては、必 ずメリットとデメリットがあります。何か新しいことを始める時にも、必ずメ リット・デメリットは発生しますし、逆に何も変えない、現状を維持すること にもメリット・デメリットが発生します。メリット・デメリットは表裏一体で、 どのように捉えるかが重要であると言えます。 また、積極的思考(ポジティブ・シンキング)の事例としてコップに水が半 分入っている絵を見て、どのように感じるかを確認する方法があります。「水 が半分しか入っていない→不足している部分に着目する」人もいれば、「半分 水が残っている→在る部分に着目する」人も存在します。積極的な思考(ポジ ティブ・シンキング)ということで言えば、在る部分に着目することが大事だ と言えますが、実際の組織運営においては、両方の考え方が必要であると言え ます。車のアクセルとブレーキではありませんが、前に進める思考・行動も必 要ですが、危険を察してブレーキをかける思考・行動もなければ、上手く運転 することはできません。 日々の業務でもそうですが、何か計画・実行するときに、メリット・デメリ ットを意識することは重要です。若手社員に仕事を教える場面において、ただ 作業・進め方を教えるだけでなく、理由(なぜ)を教えないと動かないという 話もよく耳にします。さらに、理由を教えることに加えて相手にメリット・デ メリットを考えさせるとかなり理解が進むようです。 指示を出すだけでなく、「メリット・デメリット」を考えさせるような質問 をしていくことも効果的な人材育成の方法になります。人材を育成する仕組み として、メリット・デメリット考えるクセをもたせる取り組みを充実させるこ とは重要ではないでしょうか。 (2006/12/11 人材開発メールニュース第412号掲載) WISEPROJECT:吉次 潤 Go to Back Number Index Go to Top Page |