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良質な課題と組織としての成長
 先日、ある会合で学校教育の関係者の方と、話をする機会がありました。お
互いに色々な情報交換をして、参考になることがたくさんありました。その中
の話題の一つとして「良問は生徒を育てる、良い教師の条件の一つとして良問
を与えることができるかどうかですね」と話されたことが印象に残りました。

 ビジネスの世界、組織(チーム)を運営していく上でも、全く同じだと言え
ます。チームにおけるリーダーとメンバーの関係は、学校における先生と生徒
の関係に似ています。リーダー(先生)は、メンバー(生徒)が成長するため
に良質な課題・問題を提供することが求められます。そのためには、メンバー
(生徒)の特徴や状況を理解することが必要です。また、進捗状況も見ながら、
課題・問題に対する負荷を調整することも必要になります。そのようなプロセ
スを踏みながら、メンバー(生徒)だけでなく、リーダー(先生)も共に成長
していく感じではないでしょうか?

 形式的な知識や情報は、システマチックに伝達していくことも可能であると
思いますが、メンバー一人ひとりの顔色を見ながら、成長を促進するためには、
手作りの良質な課題を与えていくことが必要だと言えます。良質な課題は、必
ずメンバーの成長に役立ちます。課題の進捗を振り返る際にも、課題を解決で
きたかどうかだけでなく、本当にそのメンバーに対して良質な課題であったか
どうかを振り返ることも必要です。仮にメンバーが課題を達成できなった場合
においても、メンバーの実行力に原因があったのか、リーダーの課題設定力に
原因があったのか、互いに真摯に見直すことで、リーダー・メンバーともに成
長する=組織(チーム)として成長することができるのではないでしょうか?

 目標管理制度を導入している企業・組織もたくさんありますが、そのほとん
どは、期中に取り組んだ目標が達成できたかかどうかに終始しているところも
多いようです。「目標(課題)そのものが適切であったかどうか?」にも焦点
を当てなければ、メンバーの成長だけでなくリーダーの成長にもつながらない
と言えます。目標管理制度に限ったことではありませんが、個人を評価するだ
けの仕組みではなく、組織(チーム)として成長できる仕組みを考えていくこ
とが今後ますます必要ではないでしょうか。


             (2006/07/24 人材開発メールニュース第393号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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