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外部資源の有効活用?
 私は人材開発サービスを提供することを生業としているわけですが、言い換
えれば、お世話になっている顧客企業に外部資源として利用(アウトソーシン
グ)していただいているとも言えます。個人的な考え方ではありますが、私は
外部資源として活用いただきながら、内製化を図ることを目標にお手伝いして
いるつもりです。いつまでも私が同じことをお手伝いするのではなく、最終的
には社内のメンバーで企画〜運用ができることをイメージしながらお手伝いし
ています。

 少し具体的な話をすれば、現在、ある会社の社内勉強会をサポートしていま
す。その勉強会では、具体的なテーマを決めているわけでもなく、自由参加と
いう形式をとっています。
 立上げの1年目は、私が毎回内容を企画・運営しました。2年目は、管理職
の方々に協力いただき、毎回持ち回りで担当を決め、各管理職の方が勉強会の
テーマ・内容を企画し、講師を手配する形で運営していただきました。余談で
すが、毎回自ら企画した内容をトップにプレゼンし、了承を得ないと開催でき
ないことにしているため、担当の管理職の方は、真剣に取り組まれています。
そして、3年目の今年は、管理職の方に勉強会を企画するだけでなく、自ら講
師として運営いただくことを目標に進めています。
 管理職の方々には、勉強会が成功した・失敗したという結果だけでなく、自
ら講師をすることも含め、企画〜運営まで一貫して担当いただくことで得られ
る“気づき”もたくさんあるように思えます。そのような経験も踏まえ、徐々
に社内で人材育成ができる環境や雰囲気を形成していくことが大事だと考えて
います。

 人材開発に限ったことではありませんが、「失われた10年」の中で、社内の
リストラ・スリム化が進められ、その一方でアウトソーシングに代表されるよ
うな外部資源の活用が当たり前になっています。(私自身のことも含め?)外
部資源を有効活用することは必要だと思いますが、事業戦略と照らし合わせな
がら、内製化(社内のノウハウ・資源として蓄積)する部分とそうでない部分
を切り分けたり、見直したりすることも必要です。

 外部資源(アウトソーシング)を「利用すること」と「有効に活用すること」
は異なります。業績が回復基調にある中で、アウトソーシングを「有効に活用
する」というよりも、当たり前に?「利用する」だけの企業(組織)も増えて
いるような印象も受けます。流行の言葉で言えば「もったいない」という感じ
でしょうか?
 人事(人材開発)部門に限ったことでなく、アウトソーシングを利用する場
合には、「何故利用するのか」「何を基準に有効とするか」その判断を行うた
めの目標や指標を持つことが必要です。または、そのような問題意識を持ち、
頻繁に議論や意見交換が行われていることが必要だと言えます。皆さんの周り
ではいかがですか?


             (2006/07/10 人材開発メールニュース第391号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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