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管理者研修の揺り戻し?
 今年もいくつかの企業で管理者研修を担当させていただいております。管理
者研修を企画・打合せする中で、今年になって管理者研修で重視されるテーマ
が変ってきているような印象を受けます(私の周りだけかもしれませんが…)。

 どう変化しているかと言うと、これまでは、どちらかと言えば実務面のスキ
ルアップを図るようなテーマ「問題解決」「考課」「リーダシップ」等が好ま
れていたようですが、今年は意外と?ベーシックな「役割認識」「部下育成」
等のテーマが好んで選ばれるような形になっています。

 管理者研修でベーシックなものが選ばれる背景の一つとして、労働力の確保
というテーマが切実な問題になっているようです。2007年問題、少子高齢化に
伴う労働人口の減少〜採用難など、事業に必要な人材を確保することが、今後
益々難しくなるという意識がかなり浸透しているような印象を受けます。
 また、成果主義という制度の下で、場合によっては育成するよりも結果を出
すことに偏っていたところもあり、気づいてはいたけれども、これまでは採用
や育成を疎かにしていたという反省の声を聞くことが増えています。

 また併せて、人事教育部門からだけでなく、経営層・トップ層からも、これ
までは、中間管理職(ミドル)に対する期待が過剰になっていたのではないか
という声も聞きます。人材を育てることも業績を向上させることも全てミドル
に期待して(期待することは悪いことではありませんが)、優秀な成果を出す
ミドルも入れば、重圧の中で潰れてしまったミドルも数多く存在するのではな
いか?経営側がミドルに働きやすい環境を提供していなかったのではないか?
成果を求める中で、結果としてミドルそのものが育っていないのではないかと
いう意見も増えています。
 経営サイドでは、何でもできるスーパーマンのような?管理者(ミドル)を
期待していたが、今後もスーパーマン?ハイパフォーマーと言われる人材を、
事業の成長スピードに応じたタイミングで、次から次へと輩出することが可能
なのかと言う疑問を持ち始めた企業が増えているように思われます。

 上記のような流れで、もう一度管理者の役割や期待を見直そう「そもそも管
理者の役割とは…」という非常にベーシックなテーマが取り上げられているケ
ースが増えているようです。人材開発に関する考え方は、各社各様だと思われ
ますが、業績を左右する管理職(ミドル)の役割・期待の見直し、またその見
直された役割・期待を正しく理解・把握しているかどうかを確認することは大
事なことではないでしょうか?皆さんの周りではいかがですか?


             (2006/06/12 人材開発メールニュース第387号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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