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改めて2007年問題を考える
 いよいよ2007年問題が直近に迫ってきた。こんなこところで改めて書く必要
もないのだろうが、昨今の人手不足の要因の一つにもなっている現象なので、
整理のためにも2007年問題を見ていきたい。

 2007年問題とは、終戦直後のベビーブーム世代、いわゆる「団塊の世代」の
大量定年退職が始まるのが2007年ということから称されている。団塊の世代は
1947年〜49年生まれと定義され、この3年間の出生数は約805万7千人、ピーク
は49年生まれで約269万7千人、少子化が進んだ2003年の出生数が約117万人だっ
たから、2.3倍生まれたことになる。

 2000年の国勢調査によれば688万6千人で全人口の約5.4%を占める(東京新聞
による)。この世代の人たちが、2007年から2010年にかけて定年退社していく。
数字だけみても、日本の経済社会、経営、雇用情勢等に大きなインパクトを与
えることは間違いない。

 厚生労働省が全国の企業対象に行った調査では、2007年問題への企業の危機
感は強く全体の22%、特に技術・ノウハウの伝承が急務である製造業では37%
の企業が喫緊の課題になっている。「意欲ある若手・中堅社員の確保が難しい」
が63%、「技術の伝承に時間がかかり、円滑に進まない」が51%と、次の世代
の問題が大きくのしかかっていることがわかる。

 人口動態的な問題も当然あるが、バブル崩壊後の俗に言う失われた10年、も
しくは15年の間の平成不況、デフレ経済・グローバルな競争の激化もあり、早
期退職優遇制度を中心としたリストラの嵐が吹き回ったのはつい3−4年前であ
る。そのときに多くの中高年が企業を去っていった。特に、団塊の世代がねら
い打ちされた感もある。

 また、40歳以上という中高年リストラにおさまらず、若手も含めたリストラ
も大いに猛威を奮った。加えて、新卒採用の抑制、請負・派遣の活用といった
人件費抑制の施策をとり続け、従業員の年齢層のひずみが生まれた。

 あのバブル崩壊や低成長時代に中長期の展望で…などと言うことは、とても
考えられないが、やはり我々は大きなツケをこれから払わなければならないの
だろうと思う。


             (2006/04/17 人材開発メールニュース第380号掲載)


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