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雑感…今年度の新卒採用について
 人手不足が世の中、顕著になっている。今年度の新卒採用などを見ていても
「えっ、こんな学生で、こんな内容で…」と思えるような学生でも結構、上位
クラスの企業の選考に残っていたりする。応募者が少ないのか、採用基準を下
げたのかわからないが、大丈夫かとかえって心配してしまう。私はあの悪名高
き?『バブル採用時代』から採用関係の仕事に携わってきたので、あの狂気の
時代に逆戻りしないかと少々心配になってしまう。

 そんな影響からか、この2−3年、細々とやってきた私の採用支援の仕事が
昨年暮れから急増している。新たにお手伝いさせていただくところもあれば、
一時縁遠くなっていたのに復活したお客さまもあり、つくづく環境の変化に驚
かされるばかりだ。

 依頼内容も随分と変わってきた。もちろん旧来のように評価項目をいかに面
接やグループディスカッションで評価するかという依頼もあれば、「応募者に
好感を覚えてもらう面接官養成」、「後輩に好印象を与えるOBOGリクルーター
養成」などのテーマの依頼も受けることになり大切なテーマだと思うが、仕事
も様変わりの様相を呈してきた。

 確かに全体とは言わないが、一部の学生は「売り手市場」になっていて企業
側も“学生に選ばれる側”に回る時代になってきている。自社のWebサイト
や説明会で興味を抱かせ採用選考のルートに乗っかってくれた学生が目の前に
現れたわけだから、面接でさらにコミュニケーションを促進させ相互理解を深
めて入社へ結びつけようという気持ちは痛いほどわかる。

 学生側の最終的に就職を決めた要因に「会った人が良かったから」というの
が上位に来ることを考えれば、面接官の人柄や接し方などが学生に大きな影響
を与えていることは確かである。

 しかしである。自然に(時には意図的にでもいいが)学生に好印象を与える
ように接することができるのなら良いが、あまり学生に阿るのも考えものだと
私などは感じてしまう。中には「自社に入社しなくとも」という態度で接する
ことを意識している企業もある。私の今年の教え子の中で企業にエントリーシ
ートを提出したら、真っ赤に添削されて帰ってきたと言ってきた学生がいた。
その際に「当社とは残念ながらご縁はありませんが、今後の就職活動のために」
と添え書きがあったそうだ。そういう企業に学生は入りたくなるのだ。


             (2006/04/03 人材開発メールニュース第378号掲載)


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